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四国のうどんにお稲荷さん

今日はタナカくんの誕生日。
タナカくんの住んでた町を歩いてみようと四谷三丁目の駅で電車を待った。
やってきたのが中野富士見町行き、タナカくんの町停り。
待ってるんだなぁ…、って思って気持ちがザワっ。
終点でおりて住んでたマンションを見て、駅からマンションに向かって歩く。
そしたら不思議。手をつないで一緒に歩いているような気持ちがしてきて、心の芯がギューってなった。
生きていたら59歳。一緒に歳をとりたかったって思って泣いた。
好物だった「四国屋」のうどんを食べる。

大きなコの字のカウンターの中に大きなゆで麺機。

今日はちょうどその前に座ったから湯気をかぶってメガネが曇る。体もポカポカあったまる。牛肉うどんを選んでたのむ。

四国で「肉うどん」といえば牛肉がのってくる。東京の肉はほぼ豚肉で、だからわざわざ「牛肉うどん」を名乗ってる。
ところ変わればだネ…、ってふたりで笑ったものでした。

麺を茹であげるのに時間が少々かかります。

待ってる間にどうぞ…、と、白菜やきゅうり、大根の漬物が最初にサービスされるんだけど、お稲荷さんも追加する。

開店直後。お稲荷さんは出来たてで「まだ熱々でやわらかいです」って女将さんが一言添える。

たしかに見れば湯気が出ていて箸を当てると中の酢飯がハラリと散らかる。
甘酸っぱくてしっとり濡れたご飯の中には、刻んだごぼう、ニンジン、しいたけが混ぜ込まれてる。
甘いお揚げもしっとりしていて口が潤う感じがステキ。

お稲荷さんを半分食べたところでうどんが到着。
牛肉たっぷりの牛肉うどん。
肉の繊維がホロホロになるまで炊いた牛肉にタケノコ、かまぼこ、青いネギ。

汁は色白。
透き通っていて出汁の香りが鼻をくすぐる。
あぁ、この匂いが好きだったんだって思わずニッコリ。
かけうどんに肉をのせているのじゃなくて、汁と一緒にいったん煮立ててうどんにかける。
だから牛肉のアクや脂が汁に浮かんで、コクや旨味を強くする。

うどんは角がたっていて、熱々の汁に気持ちよさげに浸かってる。ズズッとすするとツルンと唇をやさしくなでて口の中へとすべりむ。

麺はムチッと弾力がある。コシが強くてよき噛みごたえ。
熱い汁の中にあっても伸びず、へこたれず、歯ごたえしっかり。けれど決してゴリゴリ硬いわけじゃない。
あくまでむっちり。肉感的な食感、喉ごしに「これが四国のうどんだよなぁ」ってしみじみ思う。
牛肉を噛めば脂の甘味が口に広がり、ネギ、タケノコは歯ざわり鮮やか。むっちりとしてなめらかなうどんの食感引き立てる。
七味をパラリ、胡麻をガリッ。汁の風味が変わっていくのをたのしみながら、汁をまとったうどんが口を潤すシアワセにうっとりしながら全部飲み干す。

お稲荷さんまでつけて1000円ちょうどのゴチソウ。お腹も気持ちもあったまる。


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