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焼き茄子に鰻丼にそば。秋のゴチソウ
ひさしぶりに「大庵」にくる。そばと日本料理のおいしいお店。
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オキニイリの「うな丼と半そば盛り」のセットをたのむ。
いつもはこれに三國屋さんの海苔を追加するのだけれど、今日はあいにく入荷がないという。
代わりに切り海苔。
ついでに「冷製焼き茄子」をたのむことにした。うなぎは半尾、ご飯控えめとお願いします。
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通りに面したカウンター席がオキニイリ。
大人数でない限りまず案内される一等席だったはずなんだけど、テーブル席や厨房前のカウンターから案内するようになったのでしょう。
ボクの並びはずっと空席。
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間近に迫る街路樹や、秋の装いさまざまな人が行き交う通りの景色をひとりじめ。そばだれ、薬味、おしのぎ用の揚げ蕎麦が入った小鉢が次々運ばれてカウンターの上はたちまちにぎやか。パリポリ揚げ蕎麦齧りつつそば茶お腹をあっためて待つ。
まずは焼き茄子。
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四角いお皿でやってくる。
てっきり鉢に盛られているんだろう…、と思っていたのでちょっとびっくり。一本丸ごと焼きました…、という証のヘタ。刻んだ青ネギ、擦った生姜に削ったばかりの鰹節。
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枯れ葉のように散らかる鰹節を箸ではらって中を覗くと、茄子が体を横たえる。家ではこういうふうには盛りつけないなぁ…、まるで茄子のお刺身みたいな姿にニッコリ。
醤油をタラリ、パクっとひと口。
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ふっくら焼けた茄子が奥歯でクチュっと潰れ、自然な甘みと焦げた香りが口に広がる。鰹節やらネギやら生姜…、薬味をのせれば食感、味わいにぎやかになりメインに向かってお腹の準備ができあがる。
街の景色をたのしみながら15分ほどじっくり待ってメインの到着。
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角がキリッと立ち上がり、水をまとったつややかなそば。
小鉢にたっぷり刻み海苔。
赤い塗りの蓋付き丼、黒い漆の椀に汁。
食べやすいよう手前のせいろと奥の丼、お椀の位置を入れ替える。
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うなぎを収めた丼がほんのちょっと近づいただけで、香りの濃度がググッとあがる。
蓋をあけるとおいしい匂いがボワンと噴き出しお腹を鳴らす。
うなぎの脂と混ざりあいこんがり焦げたタレの香りはなんともふくよか。蒲焼きの表面つややか、色っぽい。ご飯は茶碗、軽く一杯分ほどでうなぎの蒲焼きを冷まさぬ役目をしっかり果たす。粋な量。
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脂ののった分厚いうなぎ。焦げたところはサクッとこわれ、ねっとりとろけてご飯とまじる。甘辛のタレに脂が焼けた香りに、パラリと散らかる熱々ご飯。濃厚な味に舌が疲れてしまいそうなほど。
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そこでスルリとそばをたぐってスッキリさせる。料理世界の両極に位置するような料理が互いをひきたてあって、口と気持ちをよろこばす。なんてステキなオゴチソウ。
刻んだ海苔をそばにも鰻丼にもたっぷりかける。うなぎの上にはさらしたネギとワサビもたっぷり。ひつまぶし風にして食べるのがオキニイリ。肝吸いの肝は大ぶり、ほどよく苦くて歯ごたえもよい。
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あっという間にお腹におさまりそば湯でタレを割って〆。気持ちが豊かになりました。
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