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ムード歌謡の世界

昭和のゲイバーの7割方にはカラオケがあった。
まだカラオケがスナックで楽しまれることが当たり前だった時代です。
カラオケがない店ではみんなよそ行き。
格好をつけてあわよくば売ってやろうとてぐすね引きつつ飲むわけです。
カラオケのあるお店ではみんなのびのび、友だちの家に来たかのうようにくつろぐ。
しかもお店によって好んで歌われる歌が違っててお店の性格が出るのネ。
ボクが好きだった店は女性アイドルやニューミュージック系が選ばれる店。
聖子ちゃんは不動の人気者だったし、フラれたと言っては百恵を歌いフった男を見返してやるとユーミンを絶唱する。
女性の歌はオカマが共感しやすいんです。
サザンやチューブが好まれる店のおなじみさんを「女のくせに男ぶって」って笑ったりしてた。

20代の前半の頃。
お客さまの平均年齢50前後というアダルトなお店にはじめて行ったのね。
もうびっくり。
だってお店の中にステージがある。
おじさまたちがそこで次々熱唱するのがムード歌謡。
みんなうまくてね…、歌い込んでらっしゃるんだなぁって思った。

ちなみに台湾のゲイバーも昔は大人がほとんどの店にステージがあってムード歌謡っぽい歌をみんな歌うのネ。
お店の名前が「上野」だとか「浅草」だとかって東京の老け専バーの聖地の地名が付いてたりして、日本から来たっていうと勝手にテレサテンとかを入れられて歌えと言われる。
歌いはじめるとみんなも一緒に歌いはじめて歌声喫茶みたいになるのよ。
日本語北京語ちゃんぽんで日台交流!
なつかしい。

さて、初めてのムード歌謡系ゲイバーで、「歌いなさいよ」ってママに促されボクは何を選んだのか…。
今でも十八番の名曲です。


はじめての大人カラオケ

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