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鰻とそばの不思議で確かな組み合わせ

おいしい蕎麦でお腹をほどよく満たしたい。
場所は新宿。ひさしぶりに「大庵」にしようと思って大庵。

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大安ビルっていう駅前近くのビルの2階。地下に同じ系列の「くらわんか」ってお店があって、そこの二段重ねのお弁当もおいしくて彼はそっちの方が好きだった。
ボクはやっぱりそばだなぁ…。

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なによりここの窓に面したカウンターの居心地のよさは抜群で、今の時期にはふた席ごとに透明仕切りがおかれているけどもともとゆったりした客席配置だったから気にならないのがありがたい。
昼のお通しの切り干し大根の煮付けとそば茶がやってくる。出汁がおいしく煮付けが旨い。

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ちなみにお店に入ったときにハリのあるしっかりとしたビニール袋を手わたされ、お食事中のマスクをよければお入れくださいと。来店時にマスク着用を推奨するなら、マスクを外したときの清潔確保をお店側が責任をとってこそギブアンドテイクじゃないかと思ったりした。おもてなし!

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蕎麦稲荷をまず注文。
甘辛に煮たしっとりとした油揚げでそばを包んだおいなりさんで、お揚げの中でちらからぬよう茹でた蕎麦を折りたたむようにしてぎっしり詰め込み仕上がっている。

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噛むとお揚げがクシュッと歯切れる。煮汁の旨味が唇潤し、バサッと蕎麦が歯切れて散らかる。いなり寿司のシャリがちらかる「たちまち感」と違って、ゆっくり時間をかけて口の中でそば一本一本にほどけていくような感じがたのしい。

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今日の目当てはここの夏の名物蕎麦。「鰻そば(うなそば)」でして、果たして今年もあるかしら…、と思ってやってきてみて無事発見。ちょっと時間がかかって登場。ウットリします。

冷たいせいろと鰻の白焼きの抱き合わせ。

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愛知県産。
脂ののった鰻を半尾。
白醤油を軽く塗りながらこんがり焼き上げ仕上がっている。
焼かれる途中で脂が染み出し、その自分の脂で表面がパリパリ揚がったようになってる。

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わさびではなくホースラディッシュをつけて食べるというのがちょっと独特。わさびと違った突き抜けるような辛さと明るい香りが鰻のコクや風味を思う存分引き出して、後口さっぱり。よき相性。
鰻を一口分だけ箸でちぎって召し上がり、口の中に鰻の余韻を感じるところでお蕎麦を召し上がってくださいね…、というのがおすすめ。サクッと歯切れてジュワッと脂が口に広がりねっとりとろける鰻の味に、そばがからんでなんとも旨い。

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ちょっと甘めのせいろのタレです。それが鰻の脂に混じると不思議なことに蒲焼きみたいな味や風味にかわってく。ついさっきまで口の中にあったのが白焼きだったはずなのに、蕎麦をたぐった途端にそれが蒲焼きになる。驚きに満ちたたのしい一品。

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もともと蕎麦って油や脂との相性がいい。だから蕎麦のお供は昔から天ぷらだったり鴨だったり。そこに鰻がこうして合わさる。以外だけれど、決して不思議じゃないのかもなぁ…。そばはさっぱりしているのに、鰻はどっしり。清涼感と滋養が一度にたのしめるのも今の季節にはありがたい。

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そば湯をもらってゴクリとお腹をあっためる。ほどよき量で確かな満足。オキニイリ。


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