一緒に食べたかったなぁ…、このオムライス
築地本願寺さんでお経をあげてもらいました。
華麗で厳かな空間に身を置きお経を聞いてると、こんなところで毎日好きなことをやってるんだろうなぁ…、と思って気持ちがホッとする。祈りとは故人のためであると同時に残されたもののためにあるもの。
さぁ、昼ご飯を食べに行きましょう。
どこにしようと歩いていたら、路地に看板。
一緒に行こうよと話してて、結局、行かずじまいに終わった「蜂の子」の看板で、そうか、こんなところにあったんだ。
特別探したわけじゃなく、ただただ気持ちが向くがまま歩いた先に、2人で来ようと思った店があったなにやら不思議なご縁を感じる。
飲食店のありそうもない路地の、飲食店が入っていそうもないビルにそっと佇むおだやかな店。窓に面して置かれた一人がけのテーブルに座って大きく息をつく。
来たかった理由はオムライスがおいしいという噂を聞いてて。
オムライスにはいろんなタイプがあって、運命のひとつを探していろんなお店に行っていた。
オムレツをのっけたオムレツライスじゃなくて、玉子でご飯を包み込んだオムライス。けれど上等なオムレツを食べてるみたいななめらかでとろける感じを味わえるのがあったらネって探して見つけたここの写真にもしかしたら…、と思ってた。
だからオムレツがメインのプレートランチを選んでたのむ。
まずポタージュがやってきて、それがなんと春菊のポタージュ。クリームと出会うと春菊がクレソンだったりチコリだったり、あるいはふきのとうだったりの味や香りに変幻自在。今の季節のいい料理…、ってうっとりしながらメインを待った。
オムライスとハンバーグ、ポテトコロッケの盛り合わせ。
卵はふっくら焼き上がり薄いオムレツといった顔立ち。
端からちょこっと顔を覗かすケチャップライスに、明るい色のデミソース。
スプーンで軽くひとすくい。
舌にのせるとフワッと卵がとろけてたちまち消えていく。
どう表現すればいいんだろう…、飲めるオムライスと言ってもいいほどなめらかで、でも飲んで勿体無いから全身全霊をかたむけ味をたしかめる。
卵はバターや生クリームをたっぷり飲み込み仕上がっていて、ケチャップライスはパラパラ。ときおり鶏肉が奥歯で潰れる。
これだったネ…、これをボクらは探していたんだ。絶対彼は喜んだはず。見て微笑んで、スプーンを入れて驚いて、すくいあげておしゃまさんな顔をして、食べて笑って「すごいネ、おいしい」っていいながら次のひとくちを口に運んでまた微笑んで。
ソースは「過ぎない」。甘すぎず、酸っぱすぎず旨すぎず、塩の加減もほどよくて卵やご飯の味をしっかり引き立てる。とは言えドッシリとした肉の風味は心地よく、舌の上ではビロードのごと振る舞い気持ちを贅沢にする。
ハンバーグをなすひき肉はメッシュ細かく仕上がりやわらか。スプーンですくって食べられるほど。熟した肉の香りがドッシリとしてソースと混じって風格のある味わいになる。
食べすすめるに従ってご飯と卵の割合が卵多めになってきて、卵あんかけご飯を食べてるみたいな気持ちにさえなってくる。ケチャップライスを具材に作ったオムレツみたいな不思議でたのしい食べ心地。
一緒に来たくてしょうがなくって、一口目からずっと泣いたよ…、また来よう!
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