サラサラのカレーにザクザクのカツ
新宿の夜。
お腹があったまるなにかを食べたい…、と思案する。
食べごたえがあって、しかもお腹にスルスル入って行くようなもの。
ラーメンじゃない。そばでもなくてしかもちょっとスパイシーな物を食べたい。
それで思いついたのがモンスナック。
創業昭和39年。
紀伊國屋書店とともに歩んできたというのが売りで、けれど耐震補強工事を理由に2021年に閉店した。
そのときはスゴい騒ぎで、どこにこれほどのモンスナックファンが隠れていたんだろう…、と思うほどの行列が連日続いた。
閉店マニアという輩がおそらくそのほとんどだったのでしょう。
半年ほど後に場所をかえてリスタートしたときにはまるで話題にならなかった。
しかも古巣の紀伊國屋書店の地下にもお店ができちゃって、あれは閉店詐欺じゃなかったのかって思った人も多かったんじゃないのかなぁ…。
今日も暇。
カウンターだけのカレースタンドからセルフサービスのカフェっぽい店になっちゃったというのもかつてを知る人にとってさみしいことだったのでしょう…。しょうがない。
お店の人はほぼ外国人。
とは言えみんな元気で仕事は丁寧。
それでもこうして残ってくれたことを感謝しなくちゃいけない…、って思って今日もいつものようにカツカレー。
タナカくんと外食するときには大抵ふたりで違ったものをたのんで分けて食べていたけど、ここではいつも二人そろってカツカレー。
だってそれ以外の選択肢がないほど好きでおいしいんだもの。
今日はゆで卵をトッピングしてカレーのルーを辛めにしました。
時間が少々かかります。
注文を受けてからトンカツを揚げていくので10分ちょっと。
細かなパン粉が強めにこんがり揚がったカツで、縦にザクザク包丁入れて切り分けて、型抜きご飯に沿わせるように乗せてカレーを注いで完成。
2つに切ったゆで卵がカレーに沈んでいるのか浮かんでいるのか、なんともおいしげ。
サラサラカレー。スープのような仕上がりで脂の薄い膜がはってる。
角煮のような大きな豚バラの塊肉がゴロゴロ転がり、噛むとくちゃっと潰れて壊れる。
壊れながら繊維がホロッとほどけて肉汁ジュワッと口を満たしてく。
脂がのっていてそれがすべすべ舌を撫でてはとろけてく。
カレーの辛さに豚の脂の甘みが混じって味わい濃厚。ずっと変わらずこの食感にこの味わい。
揚げたてのカツが熱々、細かなパン粉がパラリとちらかり肉は頑丈、噛みごたえがある。食べてるうちに口がスベスベしてくるのにウットリ。
食べごたえがあるのにスルスル食べられる。
まさに今日の気持ちにピッタリ。オキニイリ。