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銀座トリコロール。回転ドアの向こう側

銀座のトリコロールで朝をはじめる。

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朝食メニューは一種類だけ。しかもずっと同じメニューでやっている。
トーストにサラダ、バターにジャムと、これぞ喫茶店の朝食セットって感じのメニューでゆで卵すらつかない潔さがボクは好き。
銀座の街にはえるレンガ造りの一戸建て。

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シンメトリーの建物の真ん中に回転ドアが作られている。回転ドアって街と特別な空間をつなぐ特別な出入り口のように感じてボクは好き。高級なホテルが好んで設置してたのもその特別感を演出したくて…、ということだったのでしょう。最近ずいぶん少なくなった。

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お店の真ん中にカウンター。中ではコーヒーが一杯一杯落とされている。真鍮製の手すりやグラスラックはいつもピカピカに磨かれていて眩しいほど。朝食セットにブレンドコーヒー、トーストはよく焼いてくださいとお願いしました。

料理もコーヒーも丁寧に作ってくれる。だからちょっと時間がかかる。のんびり待って朝の時間を無駄遣いするのはなんとも贅沢。他のお客様もみんなのんびり、空気もおだやか。
どこからかフォークを落とす音がした。するとすかさず「大丈夫ですか?」と声がかかって、従業員が駆けつけて新しいフォークを差し出し交換する。まず声をかけるということで、フォークを落としたお客さまだけじゃなくお店にいる人みんなをホッと安心させる。しかもその声がやさしくやわらか。ステキだなぁ…、ってニッコリします。

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「お待たせしました」とボクの料理がやってくる。
見事にこんがり焼けた分厚いトーストに、みずみずしさが目に伝わってくるサラダにバター、そしてジャム。期待通りの姿にまたまたニッコリとなる。

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歯ざわりたのしいレタスの葉っぱ。
硬めで酸味がしっかりとしたトマトにパプリカ。
フレンチドレッシングを軽く装い、野菜の持ち味を心置きなく堪能できる。
トーストは耳までしっかり焼けている。

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分厚いパンを焼くときに耳がサクサク焼けているか…、生地の芯まで熱が入っているかが重要。
パンの水分がほどよく抜けてその大きさと分厚さを裏切る軽さにまずウットリ。ちぎるとおいしい湯気が噴き出し、おいしい匂いが鼻をくすぐる。

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さっくりとした噛み心地。不自然に甘かったりもちもちしたりしていないのがありがたく、ほどよい塩気に旨味がおいしい。バターとジャムをのっけるようにたっぷりほどこしサクサクザクザク、食べすすむ。

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銀のポットにコーヒーを入れ、お客さまの目の前でカップにコーヒーを注ぐサービス。注いでくれる人の顔にはマスクがあるけど、ニッコリしているのが目元でわかる。そっとポットを斜めに持ち上げ中のコーヒーがカップを満たすにしたがって、おいしい香りがテーブルの上に花を咲かせてくれるよう。

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ほどよい苦味にやさしい酸味。ミルクを注ぐと酸味が甘みに変わっていくのがなんともステキ。おいしくってうれしくて、おかわり一杯、おねだりしました。食後ものんびりたのしんだ。

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ごちそうさまと回転ドアをおしてお店の外に出て、振り返ったら回転ドアの内側にお店の人の姿を発見。放っておくとしばらく回りっぱなしになってしまう回転扉を手で押さえ、ガラス扉の向こうからゆっくり頭を下げて見送る挨拶をする。そんなステキにニッコリしました。ここちよい。


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