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手をキレイにして頂上麺のフカヒレ焼きそば

オキニイリの頂上麺。

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東京駅、八重洲サイドの北の端。キッチンストリートという飲食店だけが集まる施設の入り口にある。
ショーケースの中に収まる大きなフカのヒレが手招きするような場所。
フカヒレのあんかけそばが1000円台で食べられるという、わかりやすいコンセプトが受けて人気の店になった。開業した当初は1300円くらいだったのが20年以上経った今でも1600円台。経営努力の賜物でしょう。
ちなみにこのキッチンストリート。テナントに若干の入れ替わりはあるもののほとんどの店が開業以来、同じ商品コンセプトでずっと店を続けてる。女性向けじゃなくサラリーマンのちょっとした贅沢テーマにしたからなんだろうなぁ…。
女性は新しもの好きで定期的に店を入れ替えないとそっぽ向かれる。一方、男は行き慣れた店で食べ慣れたものを食べるのが好き。地味だけれど安定しているマーケットを取り込むことができるお店は長続きする。お勉強。

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店に入るとお店の人が手の消毒をお願いしております…、って言う。
入り口の外にアルコール消毒液が置かれてて、消毒の仕方も丁寧に説明されてる。
その通りに消毒をする一部始終をお店の中からずっと見、ありがとうございますと頭を下げて席に案内すると言う入念さ。

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案内される厨房の前のカウンターはステンレス張り。
ひんやり冷たく見えるけど、こう言う時節には清潔アピールでホッとする。それに熱々の料理がやってくるにふさわしい舞台のように感じたりもする。オモシロイ。
いつもたのむのは「ふかひれあんかけ焼きそば」です。
土鍋煮込みの汁そばが開業当初からの看板人気ではあるけれど、ボクはこの焼きそばがどうにもこうにも好きでしょうがない。

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提供方法がまずステキ。熱々に焼いた陶器のお皿の上に麺。柄付きの土鍋のなかにフカヒレ入りの餡が別にやってきて、それを目の前で麺の入った器の上で傾ける。
ジュジューッと湿った音と一緒に蒸気が上がり、それが一旦落ち着くとバチバチ、麺が焦げる音。ぽってりとした餡に大きな泡ができては破裂して小さな沸騰がしばらく続く。耳にも目にも騒がしい臨場感もゴチソウで、お腹がすきます。

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まずはとろみスープ。ぽってりトロトロ。出汁の旨味にオイスターソースの風味がからみ口の中がスベスベしてくる。
黒酢を垂らすとあんかけの濃厚味をスッキリさせて、コクが際立つ。白胡椒は甘みと風味を膨ませ少ないながらもフカヒレの繊維のハリがスープの粘りを引き立てる。

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パリパリになるまで焼いた蒸し麺。
表面が揚がったように焦げて仕上がり、表面部分はパリッと壊れる。中に行くに従って麺本来のやわらかい食感の余韻があって奥歯をカサカサひっかきながら、クシュッと潰れる。

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しばらくすると餡を吸い込みまるで茹こんだ麺のようになる。
まるでスープが麺の形をなしているような不思議な食感。
粘り強い餡だから麺がすっかりスープに浸かってしまうわけじゃない。だからパリッと歯触り乾いた部分はずっとそのまま。
餡が絡んでネットリとした麺はズルンと口へと飛び込んで、ふかひれスープの濃厚な味で口を満たして消えていく。パリパリ感を残した麺は口を騒々しくしてくれて二つの麺の食感たのしみ器は空っぽ。お腹は満ちてあったまる。レジ脇に置かれた有料トイレのコインを1枚。今日は使わず財布にいれて、お守り代わりにいたします。



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