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山の上ホテルが営業再開とあいなりました

お茶の水の山の上ホテルが改修工事のために長らく休業してた。
古い建物はメンテナンスにコストがかかる。改修したとて新しいビルに比べれば使い勝手は数段落ちる。だから壊して建て替える…、というのが合理的な考え。それで東京の風情あるビルが次々姿を消していく。
改修という道を選んだ勇気に惚れる。
休業期間が11月の末で終わって12月からリオープン。早速きました。朝食を食べに「天ぷら山の上」。

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場所は変わらず、ただ入り口の位置がつけかわり風情たっぷりのアプローチ。店の構造、設え、ムードはほとんど変わらずホッとする。天ぷらを揚げる厨房の真ん前に個室がひとつできていて、天ぷらが揚がる気配を味わいながらテーブル席でくつろげる。4人分の「ほぼシェフズテーブル」って感じの特等席になっている。

カウンターの後ろの壁の木の扉。中は冷蔵庫という、ここで一番ドラマティックな景色は健在。朝からそこで天ぷらネタの仕込みをしている気配もステキ。あぁ、ありがたいってニッコリします。

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朝の献立はご飯とお粥の2種類。
ご飯を選ぶ。
料理が並んだお膳がまず運ばれてくる。日本の朝は目に鮮やかです。

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一番手前に焼海苔が入った紙の小袋。おひたし、梅干し、煮物に辛子明太子とご飯をねだるおかずがズラリを顔を揃えて右手前には栗羊羹。

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鮭の塩焼き、だし巻き卵のかたわらにギュッと絞った大根おろし。ここの焼き魚といえばずっとサバの塩焼きだった。皮がパリパリになるまで焼かれた香り豊かなサバがおいしく好きだったけど、好き嫌いのある料理。鮭に変わってしまうのもしょうがないかと我慢する。

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ご飯と汁が到着す。
ごぼう、わらびにニンジン、こんにゃくを鶏もも肉と一緒に煮込んだ筑前煮風の炊合せ。
しっかり味がしゅんでいてご飯をねだる。
マグロの刺身が用意されるところがここ独特。
舌に乗せるとひんやりしていてピトッと貼りつく。
舌の温度でゆっくり脂がとろけて、甘味を帯びた旨味がじんわり舌に広がる。
最後に軽い酸味をのこして消えていくのがオゴチソウ。
すりおろしたわさびの香りが鮮やかで、ご飯にのっけて食べると甘みまじりの香りが鼻からふわっと抜ける。
蓋付の鉢の中には煮付けたゴボウにゴボウの練り物。
飴色になった大根が収まりおいしい出汁がジュワッと染み出す。
ここの梅干しは本当に酸っぱい。口に含んだ途端に体が震えるように酸っぱくて、舌が負けじと必死に唾液を搾り出す。目も覚めお腹も目覚まして、朝の食欲を湧かせてくれる。

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出汁がおいしい青菜のお浸しは器に残った汁までおいしい。
ここの名物がちりめん山椒。それがたっぷりついてくるのがなんともうれしい。ご飯の上にパラリとちらし、ハフっと口に含むとじゃこの香りがまずふわり。噛むと醤油の風味がじゃこの旨味に混じって広がる。山椒の実がときおり奥歯ではぜてビリリと舌の端がしびれてくのが、また旨い。

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海苔で巻いたり、梅と一緒に食べたりしお腹も満ちてく。なめこの赤だし、大根、きゅうりにキャベツの漬物。熱いほうじ茶で口をスッキリさせて〆。のんびり甘味をいただきます。

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今までずっとここにいた人。銀座のお店で働いていたという若い人たち。みんな新しいお店に息を吹き込んで行こうと、ニコニコ、一生懸命な様が一番ゴチソウ。また来よう。


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