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かまかけのおいしいこと、おいしいこと
前から来たかった店に行こうよと電車に乗る。市電の琴電。なつかしいねぇ…、なんて言いながら2両編成の小さな電車にのってゴトゴト。降りた最寄り駅は住宅街の中にありそこから歩いて数分ほど。
ポツンとお店が見えてくる。
うどんバカ一代っていうお店。
民家のような店で周りに駐車場がぽつりぽつりと点在してる。ひっきりなしにそこをめがけて車が突っ込んでくる。車を停めるとニコニコしながら出てきてお店に入ってく。旨いうどんを喰ってやるぞって気合が伝わる。
店に入った瞬間、甘い小麦の匂いにむせる。
カウンターの右端でうどんを注文。左に移動しながら天ぷらなどを好みで選びお金を払う。一番人気は釜玉うどん。ただボクの今日の目的は「かまかけ」。茹であげのうどんを水で〆ずに器にうつし、上から熱いかけ汁かけて仕上げる料理。
茹でおきじゃなく茹でたてです。
本来ならば時間がかかる。
けれどここはいくつもの釜でうどんがずっと茹で続けられている。
大きな釜の中にたっぷりお湯。
それがブクブク沸騰していてだからそれほど時間がかからず出来上がる。
飴色よりのうつくしい麺。角はしっかり残ってる。けれど洗ってないからところどころがちぎれていたり毛羽立ってたり、箸で軽く汁の中を泳がせると汁が軽く濁ってく。
たぐるとなめらか。トゥルンと唇撫でながら口の中へと飛び込んできて噛むとむっちり。歯ごたえたのしくけれど硬さを感じない。コシがあるのにやわらかで、やわらかなのに噛むたのしみが持続する。
芯まで熱くて、汁の旨味がどんどん麺の中に入っておいしくなっていく。小麦の香りも鮮やかで食べはじめるととまらぬおいしさ。ネギに生姜に天かすにと薬味をあれこれ投入しながらズルンスルンと味わっていく。
お供に天ぷら。竹輪といんげん豆を選んでとった。本来ならばうどんのトッピングとして味わうべきところ、あまりにうどんが完成された味わいで、だから乗せずにそのまま食べる。
ウスターソースを少々かけてうどんを食べては天ぷらパクリ。うどんのおかずにして味わった。それからお供に太巻き二切れ。讃岐の太巻きはシャリが酸っぱくさっぱりとした味わいで、巻いた厚揚げはみずみずしくて口が潤う感じが独特。
麺のでんぷん質が汁に溶け出しとろみがでてくる。イリコの香りに昆布の風味。自然な甘みにウットリしながら気づけば器は空っぽ。お腹がほどよく満たされる。
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