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蕎麦屋のかつ丼

明るく暖かい色をした空もまぶしい今日の午後。
近所で昼ごはんを食べましょう…、と薄着で外にでたのだけれど案外風が冷たく感じる。
こういうときにはカレー南蛮。
迷わず四谷三丁目の交差点にある尾張屋に飛び込んだ。

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ほぼ満席で最後のテーブルをもらって着席。注文はスラスラ。「カレー南蛮蕎麦とかつ丼ください」って。お店の人はすかさず「かつ丼の卵は硬めで?」って聞くからそれでとお願いをした。
お店の中はにぎやかだけど、ほとんど料理が出きった直後のタイミングだったのでしょう…、待たずにあっという間に料理が到着。ニッコリします。
いつもの通りの仕上がりです。

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コシを切ってよく溶きほぐした卵がとんかつのパン粉衣と一体化してとんかつの上をしっかり覆う。手鍋の中でだしと一緒に固まった卵はふっくら、ご飯を覆って丼の上は出汁を含んだ卵色。わかめたっぷりの味噌汁とたくわん二切れでひと揃え。いただきます!ってまずカプリ。

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かつ丼にはそば屋系ととんかつ店系があって違いはカツの状態。
とんかつ屋さんのかつ丼のかつは揚げたて。
サクサクとしたパン粉の食感をたのしむ料理。
一方、そば屋のかつ丼のかつは揚げおきがほとんどで、それ故出汁をパン粉が吸い込んでしっとり仕上がる。
つまり「カツ」を味わうか「出汁」を味わうか、料理の成り立ちそのものが違って感じる。
今日は出汁の旨味をしっかり味わう。

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サクッと歯切れる分厚い肉。出汁をしっかり吸い込んだ衣。シャキシャキ感を残しながらも味が染み込む玉ねぎとどれもがご飯をおいしくさせる。
煮汁は衣と卵がしっかり吸い込み蓄えている。だから丼の中のご飯の底の方は白米のまま。その分、卵でとじられた料理は味が強くてそれをおかずのように味わうかつ丼。ザブザブつゆだくもおいしいけれど、これもおいしい。いりこの香りを強く感じる味噌汁も、カリカリ歯ざわり軽快なタクワンもおきにいりにておゴチソウ。

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今日の目当てのカレー南蛮は安定の味。出汁がしっかりきいていて、カレーの風味が力強くはあるけれどいわゆるカレーではなくカレーの味の蕎麦であるってところがうれしい。カレー南蛮世界で五本の指に入るおいしさ。好きな味。

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熱々の汁の中で麺がどんどんやわらかくなり、もったりぽってりとろみのついた汁と渾然一体となる。ズルンとたぐるとまるでカレーが麺の形をなして口の中へとなだれ込んできてたちまちとろける。カレーのスープがなくなるとはじめて麺がそこにある…、って感じのご馳走。体が芯からあったまる。
具材は豚肉。これが案外たっぷり入って食べごたえがある。それ以外は玉ねぎでスルンとなめらか。甘みがおいしい。かつ丼食べてカレー南蛮ズルンと味わい、お腹がしっかり満たされる。


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