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野方のばらーど、ハムトーストのおもてなし

野方の「喫茶バラード」で朝。

中央線の高円寺の駅と中野のちょうど真ん中あたりの小さな喫茶店。
高円寺からテクリテクリと一本道を歩いていくと、遠くに緑に看板が見えてずっと手招きをする。
細い路地の突き当たり。

民家の一階。ご夫婦ふたりでやってらっしゃる。
玄関で靴を脱いで上がる店。「ごめんください」って言いたくなる。実際、トイレに立つときご主人に「お手洗いをお借りします」って言っちゃった。

ハムトーストがおいしくってね。

朝のセットが600円。コーヒーをアイスにかえて650円といううれしい値段。アイスコーヒーでお願いします。

まずはサラダとアイスコーヒー。小さなグラスに氷水。

クリームをたっぷり浮かべて飲むアイスコーヒーは、上等なコーヒーゼリーを飲んでるような濃厚な味。
レタスとキュウリ、トマトのサラダ。どれもキリッと冷やされていてキュウリが特別おいしかったなぁ…、甘くてカリッとみずみずしくて体が芯から潤う感じ。

サラダを食べ終えるタイミングを見計らったようにハムトーストがやってくる。

パンの厚さに比べてハムは薄くて控えめです。
だからハムサンドじゃなくてハムトースト…、ってことなんでしょう。
先日行った淡路町の「ショパン」も同じ。昔からある喫茶店ではよくある区別。ボクは好き。

食パン2枚ひと組を、耳を落として6切れにする。

そのひと切れはちょうどひと口分の大きさで、舌の上にそっとおさまる。
しばらくそのまま…。
焼けた小麦の香りと一緒にハムの香りが鼻から抜ける。
そしてサクッと噛んでみる。
あんな薄さのハムなのに味わい、風味、それぞれ力強くてウットリします。
トーストは軽く焼かれて表面サクサク。噛んでくうちに持ったりしてきてハムと混じってとろけてく。

よく見るとパンの片方が厚くてもう片方が薄いのですね。手切りの証拠。パンの生地は粗めで水気がほどよく抜けて、小麦の風味が際立つ仕上がり。ひと口大のオゴチソウ。
紙ナプキンをバターにハムの脂のシミが模様を描く。おいしい余韻にまたウットリ。

それにしても…。
民家だけれどお手洗いは男女に分けて造り直していらっしゃる。その心地良き造りは見事で、しかも誰かが使うと、奥さんがそっとさりげなくトイレに行って整え直してらっしゃるんです。
こういう店は本物の店。2人で一緒にしたかった店…、ってしみじみ思った。「おごちそうさま」といいながら玄関に出たら靴がきれいに揃えてあった。ありがたし。


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