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おひつご飯にだし巻き卵…、京風情
ひさしぶりに「やげんぼり」。
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赤坂見附も駅近く。路地をちょっと入ったところの小さな京都。
赤坂の町は南北に大きな通りが3本。田町通りにみすじに一ツ木。「みすじ」の由来は三味線の3本の弦が由来と、東京の花柳界の中心だった時代の名残り。
大通りから小さな路地が東西へ。そこにぎっしりお店がたち並ぶ。小売りのお店は数えるほどで、それらお店がほぼ飲食店という東京有数の食の町。
この店がある路地は一際目立たぬ小さな路地で、そこにそっと置かれた小さな行燈。風にたなびく生成りの麻の暖簾に柳。三味線の音が聞こえてきそうなしっとりとした京的空間。
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それにしてもスゴい行列。
人気の店ではあったけど開店前からこんな行列ができるような店ではなかった。SNSで店選びをする若い人たちが多くって、バエる要素をもったお店は得してるんだか大変なんだか。
お店に入るとまず靴を脱ぐ。おしゃれな格好のおねえさんがたがブーツを脱ぐのに四苦八苦。こういう店にくるのなら、スポッと脱げてスパッと履ける履き物選んでいらっしゃいな…、と言いたくなるけど我慢する。
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座敷に上がるとLの字型に設えられたカウンター。一段下がったところに厨房。カウンターの向かいの板場に板長が立ち、奥では職人さんが二人がかかりでだし巻き玉子を焼いている。カウンターを見下ろすように座敷が囲み、どこに座っても厨房が眺められる劇場的なおいしい空間。
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昼の献立はだし巻き玉子に焼き魚、やまかけまぐろに湯豆腐を選んでそれにおひつご飯に漬物、小鉢に汁がつく。すでにご飯の入ったお櫃や漬物、小鉢が並んであとはメインと汁がくるのを待つばかり。
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使い込まれた白木のお櫃。角がとれて手ざわりなめらか。水を含ませしっとりさせて茶碗三杯分ほどのご飯が中におさめられてる。お櫃がご飯が吐き出す湯気を飲みこみ、ご飯は乾かずふっくらしたまま。昔の人の知恵はたおやか…、ニッコリします。
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人気はやはりだし巻き卵。
ほとんどの人がそれを注文。
四角い卵焼き用の鍋を操りながら、形を持たない溶いた卵が次々形をなしていく。
そのさままるで魔法のごとし。
鍋ひとつぶんが二人前。
焼けたら一旦まな板にのせ、ちょっと休ませ2つに切り分けお皿にのせる。
軽く絞って醤油をしませた大根おろしをかたわらに、たっぷりの湯気と一緒にどうぞとやってくる。
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ふるふるです。箸でつつくとゆったり揺れる。これ以上、出汁をくわえると固まらなくなるんじゃないかと思えるほどに出汁がたっぷり。割るとジュワッと出汁がお皿に流れ出す。
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にもかかわらず、箸でしっかり掴める絶妙。舌にのせると自分の重みで出汁がしみだし、上顎にあてると崩れる。それほどやわらか、そしてなめらか。
そしてご飯を口に含めばご飯の粒が出汁に濡れ、コロコロ舌の上を転がるような感じがするのがステキ。
ご飯のお供も多彩に揃う。
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京つけものの盛り合わせにひじきの炊いたん。ちりめん山椒とどれもご飯がすすむゴチソウ。
中でもちりめん山椒のしっとりとしてご飯と一緒にハラリと散らかる感じがおいしい。
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ときおり奥歯で山椒がはぜてピリッと痺れる感じもご馳走。出汁のきいた赤だしの実は小さなサイコロに切った豆腐と刻んだお揚げ。しっかりとした味わいで汁もご飯のお供の役目をキチンと果たす。
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だし巻き卵がのせられていたお皿はたちまち出汁まみれ。京つけものをおかずにぶぶ漬けで〆…、というのがお店のおすすめだけど、だし巻き卵の出汁をご飯に注いで食べると出汁かけご飯のような味わい。オゴチソウ。
お腹も満ちてあったまる。1500円の京都旅。
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