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あわびをすりおろしたことがありますか?

あわびといえば海の高級食材の代表です。
すし屋であわびと口にするときには、緊張感がはしるもの。
けれど昔、田舎にいた頃はもっと手軽な食材だった。
今では養殖で年中手に入る。
昔はそうではなかったけれど、旬の頃にはバカみたいにたくさんあった。
あわびに限らず、平貝やシャコ、ワタリガニも買うといえばタライ一杯、バケツ一杯って単位で買っていたものでした。

松山の近くに「伊方」というあわびの漁場がありました。
今や原発の町として有名になっちゃったけど、かつては天然のあわびが湧くようにとれる場所として有名で「口開け」は大抵今頃。

口開けといえばあわびの漁が解禁されたということで、冬の禁漁期間に太ったあわびが一斉に市場にでてくる。

「だんなさん、あわび、おいりんか?」って、おたたさんと呼ばれる行商のおばさんがタライを頭にのせてこの頃、家までくるのね。
タライの中には大小合わせて30個近くのあわびが入ってる。
母は中からいいものだけをよって買う。
父は全部まとめてかうから「だんなさん」がいそうなときにやってくる。
大きなものは焼いて食べます。
小さなものはすりおろす。

あわびのすりおろしはとてつもなくおいしくて、今ではさすがに贅沢で、思い出すとウットリとなるゴチソウでした。
今日はあわびの話をしましょう。


あわびをおろす、ひたすらおろす

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