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ざくろにTORAYA。どちらも見事な気配り、おゴチソウ

「ざくろ」でお昼。メインダイニングは満席で、個室をもらってしゃぶしゃぶにする。

部屋に入るとテキパキ食事の準備がはじまる。
3人ほどの仲居さんが次々やってきてはコンロをおいたり鍋をのせたり。ポン酢に胡麻ダレ、薬味のニンニク、もみじおろしを並べてく。
その手際よきことキビキビしていて、なのに騒々しさがないのがステキ。

前菜にトマトサラダとアスパラ豆腐。
刻んだトマトをドレッシングであえてパセリとみじん切りの玉葱ちらす。スプーンですくって食べるのだけどドレッシングとトマトの相性が良くてお腹が潤う感じ。
なめらか、やわらか、すべすべのアスパラ豆腐とこのトマトサラダは昔からずっとこの店の看板メニューで変わらぬおいしさ。鍋の蓋から湯気が噴き出し、鍋の準備は出来上がり。

牛肉、豚肉を乗せたお皿がやってくる。
蓋を開けると湯気がボワン。

細かな泡が湧き上がっては壊れて次の新たな泡に置きかわる。
肉をしゃぶしゃぶ。
豆腐ようを隠し味にした胡麻ダレにたっぷり浸してパクリと食べる。
うま味に香り、そして辛味を肉がまとって口の中へとやってくる。
牛肉は番手大きく、その分、薄く削がれてる。

豚肉は牛肉の倍ほどの厚さで白い脂が肉感的。
極薄の牛肉はタレをしっかり吸い込んでぽってりとろける。厚めの豚肉は歯ごたえがよく、脂の甘みを堪能できる。ウットリしちゃう。

野菜はお店の人が鍋に入れてくれるんですネ…、豆腐にネギ、白菜、しいたけ、エノキをバランス良く鍋に入れてはアクをとる。

お店の人がずっと世話を焼いてくれるわけでなく、部屋に出たり入ったりする。ただそのタイミングが絶妙で、スープをそろそろ足してほしいって思った頃にスープをもってやってくる。
鍋の中の野菜をとってお皿にキレイに盛り付けてくれたりするのもありがたく、気遣ってくれる食事ってなんともうれしい。

最後に春雨をいれて炊き、胡麻ダレにつけて食べれば担々麺風。
肉と野菜が育てたスープを塩と胡椒で味ととのえてコクッと飲んで〆とする。


できたばかりの銀座のとらや。
随分人気のようで、予約がとれたら行ってみよう…、と連絡したら取れちゃった。
それで来てみる。

もともと銀座の中央通りに面して入り口のあった店。
大きなビルに建てかわり1階から3階はバレンシアガのお店になった。
そのために入り口が一本裏手のすずらん通りに作られた。
しかも入り口は地味で少々分かりづらくて、知らずに来たら通り過ぎてしまいそうなほど。
エレベーターを4階でおりるとエントランスにレセプション。予約の旨を伝えると個室に案内されました。
ビルの4階でありながら、盆栽仕立ての松の木が印象的に配されたテラスが作られその空間を味わいたいなと思うも、テラスの反対側。
残念だなぁ…、って思っていたら、お店の人が今はテラスに人がいないのでご覧になりますか?なんて案内してくれる。お店の人の笑顔に満ちて丁寧で、しかも明るいサービスにたちまちファンになっちゃった。

宇治しぐれを選んで煎茶をセットにします。
他のとらや茶寮や菓寮にもあるメニュー。けれど器がここ独特で、大きく手触りなめらかなもの。
氷の状態もひときわ細かくふっくらしていて口溶けが良くウットリします。

たっぷり使われた抹茶のシロップ。香り鮮やかで苦くて甘い。
練乳をかけても負けず、乳独特の匂いを感じぬほどに抹茶の風味は強くておいしい。
餡は白あん。ぽってりなめらか。小倉あんに比べて香りがおだやかでさっぱりとした甘みがやさしくありがたい。

食べ進めると氷がとけてゆるくなり、まるでシャーベットのようになっていくがまたたのしくて、しかも不思議と頭や胸を痛くしないのにまたウットリ。深蒸し煎茶はうま味たっぷり。良き時、良き日となりました。


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