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最後の晩餐の有力候補

銀座アスターの新宿賓館。

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新宿伊勢丹の向かい側のビルの中。かつて地下に映画館の入ったビルの地上部分を全部使って営業してた。

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盆暮れの会社の打ち上げに決まって使っていた店だったのだけど、元気が過ぎた若い人たちが暴れて店の一部を壊し、出禁になった店でもあった。それでちょっとなつかしい。

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ビルが建て変わって立派になって、のびのびとした上等な店に様変わり。大きな窓から伊勢丹を見下ろす感じもまたおゴチソウ。その窓際のテーブルもらってまず中国茶。プーアル茶をポットでもらって昼のお腹をじんわり動かす。

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今日のメインは時間のかかる料理です。だからじっくり、時間をかけて待つための前菜たのむ。

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皮付きの豚肉を窯焼きにした香港式の焼き物料理。
広東料理は時間を食べる料理じゃないか…、と時折思う。フカヒレ、アワビ、ナマコ、それからツバメの巣と贅沢な料理はどれも乾燥したものを時間をかけて戻してキレイに掃除して、再び時間をかけて仕上げる。この焼き物も時間をかけて仕込まれたもの。売れ残ることにビクビクしてては作ることすらできない料理。ありがたい。

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豚バラ肉を皮がついたまま焼いてくと皮がザクザク、自分の脂で揚がったように仕上がっていく。好きだったなぁ…、豚肉の皮が壊れて口にちらかり肉がむっちり歯切れてとろけるこの感じ。プラムの酸味と甘みを活かしたソースをまとわせ思う存分、脂を味わう。

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そしてまもなくメインの到着。
フカヒレの姿煮一枚。
土鍋におさまりグツグツしながらやってくる。

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なにかおいしいものに出会うと、必ず二人で「これが最後の晩餐にふさわしいかどうか」を話す。
世の中にはおいしいものが沢山あって、最後の晩餐にふさわしい食べ物を全部食べてたら何週間も死ねないネ…、なんてよく笑ってた。
でも「その中でひとつだけを選ぶとしたら何にする?」って質問には、ふたり揃って「フカヒレの土鍋煮込み」で答えは一致。
しかも新宿の維新號のが一番だよネ…、って言ってたその店は閉店し、それで代わりにこの店にした。維新號のそれに比べて少々上品。ヒレの繊維も若干ひ弱で女性的。一緒に食べてたザクザク歯切れるヒレの繊維にコッテリとしたソースの味わいは格別だった。

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金華ハムをちらしたフカヒレ。上湯スープの上等な味。これはこれで十分おいしく、ふたりで食べたらもっとおいしく感じたでしょう。

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ご飯をもらって一緒に食べると、ご飯の粒のひとつひとつが口の中でカラコロ転がるような食感。ゼラチン質をたっぷり含んだスベスベスープのスベスベが一層際立つ。おゴチソウ。


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