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おにぎりスタンドリッツボン

なぜだか気持ちがさみしくて新宿二丁目の「リッツボン」におしゃべりしようと思って来てみる。

おむすびの専門店で、ゴキゲンでやさしいマダムがひとりでやってる。
夜はスナックの曲がり営業。
スナックだからカウンターだけ。
厨房はおつまみ類を作れる程度にコンパクト、調理器具といえば小さなコンロと家庭用の電気フライヤー。
それに炊飯器があるくらい。

おむすび屋さんってご飯が炊ければあとは工夫でどうにでもなる。
調理器具が作る料理じゃなくって、手と真心が作る料理がおむすびなんだ…、ってこの店みてるとしみじみ思う。
おかあさんが作るおむすびがおいしいように、おかあさんのように見える人が作ってくれるおむすびはおいしく感じる。

そういえば昔、四谷にあってよく行っていた「おむす人」っておむすび屋さんは、おかあさんたちだけで運営してた。そのやさしさが好きで、なくなっちゃった今でもしみじみなつかしい。
代わりに今ではこの店がボクにとってホッとできるありがたい場所。なにより世間話ができる「スナックみたいな」気軽な感じがオゴチソウ。

おむすびは10種類ほど。好きなものを選んでセットにすると卵焼きと鶏の唐揚げが一個づつ、野菜のピクルスがついてくる。いつも卵焼きを2個にして味噌汁追加でひと揃え。今日の味噌汁は山芋のすりながし。

卵焼きは甘いの、辛いのの2種類あっていつも甘いの。

シットリしていてほどよく甘い。
こんがり焦げた香りもおいしいオキニイリ。
鶏の唐揚げはいつも注文してから揚げる。だからサクサク、熱々で醤油ベースのタレがしっかり馴染んだ肉もさっくりとした揚がり具合もボク好み。

おむすびは2個。

体のコトを考えて塩控えめで作ってくれる小さめサイズ。

ひとつは梅干し、もう一種類は塩昆布。ひとつひとつご飯の重さをしっかりはかりいつも同じになるように丁寧に、そしてやさしくむすぶ。具材はたっぷり、どこを食べても必ず口に具材がやってくるようにしてくれるのもありがたい。
徳島の大野海苔の海苔がパリッと風味豊かでおいしくて、包むのでなく穿かせるように使っている。ご飯に触れたところはしっとり、触れないところはパリパリで異なる食感が味わえるのがまたうれしい。

ズッキーニやアボカド、パプリカとあまりぬか漬けにしない野菜を使ったぬか漬け。これが不思議とおいしくて、特にアボカドのねっとりなめらかな口当たりがまるでチーズのようで格別。

すりおろした山芋以外に実を入れず、ポッテリとした汁そのものの風味や味をたのしむ味噌汁でお腹がポカっとあったまる。

二切れついてた卵焼きのひとつが端っこ。他のところに比べてこんがり焦げた香りがこうばしく得した気持ちでニッコリします。気持ちも晴れた、オゴチソウ。


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