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虎屋菓寮でねずみを食べて来年を呼ぶ。

新宿に移動してひと仕事。
この時期は「ご挨拶」という仕事が増える。今日は夜も野暮用で、一旦家に帰る途中で甘いもの。
伊勢丹に来る。

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クリスマスが終わると途端に、デパ地下は正月準備でにぎやかになる。生鮮売り場にはカニや数の子、すき焼き用の上等な肉なんかが溢れはじめて、あぁ、もう今年も終わるんだなぁ…、ってしみじみしてくる。
虎屋で一服。季節の生菓子も新年を迎える準備がはじまっている。
来年の干支をかたどった「ふくらねずみ」を食べてみる。

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白餡に葛粉や砂糖を混ぜて生地とし焼き上げる桃山仕立ての生菓子で、ふっくら太ったねずみの形が福々しくて愛らしい。ねずみのお腹には白餡がみっちり入っているんだという。

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和菓子の造形はつくづくモダンで大胆で、抽象的にもかかわらず趣き深くてうつくしい。食べることができるモダンアートと言ってもいいんじゃないかと思う。
焼けた表面は若干硬さを感じさせ、楊枝を当ててくっと力を入れるとザクッと切れる。その断面はねずみ本体の黄金色と白餡の白の三重構造。口に含むと若干もったりしているものの、ゆっくり元の餡子に戻ってネットリとろける。

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なんとおいしい…、ふくよかにして重厚な味。来年がこんな豊かな年になればいいなと思ってゆっくり味わい、お腹に収める。冷たい抹茶で口を潤し、さてさて家に帰りましょう。


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