見出し画像

うどんの一福、そのままのかけ

打ち合わせを終えおいしいうどんを食べましょう…、と「一福」に来る。

麺も汁も旨い店です。シンプルにその両方の持ち味をたのしみましょうをかけうどんにする。
ここはかけが3種類。あつかけ、ひやかけ、そのままがある。

ここのうどんは讃岐流に茹でおきです。
それを湯通ししてあたためて熱い汁をかけたのがあつかけ、氷水でしめて冷たい汁をかけたのがひやかけで、それをそのまま器に入れて熱い汁をかけて仕上げるのが「そのまま」。
麺はゆでおきの常温で、熱い汁をかけると若干冷めてぬるめになっちゃうのネ。
ただうどんのコシはしっかりしてる。
汁は冷たくするよりも温かいほうがうま味も風味もたのしめるから、それでそれでそのまま。「赤天」追加で食券を買う。
今日もにぎやか。テーブル席がほぼ一杯で壁に向かったカウンターに案内される。若い人たちがキビキビ働く厨房の様子をみながら待つのが好きなんだけどしょうがない。

料理はあっという間に到着です。
器の中はいつも通りにうつくしい。

透き通った淡い色の汁に、麺の方向をキレイに揃えて折りたたむようにして沈めたうどん。
温め直したり冷たい水に洗い直したりしていないから、角が壊れずキリッとしてる。ネギが少々、おいしい出汁の匂いが漂い鼻をくすぐる。
うっとりします。
湯気が立っていないのは常温の麺の温度で汁が若干ぬるくなってる証で、だからフーフーせずに飲めるしスルンと食べられる。
カウンターに置かれた天かす、生姜をのせてさぁ、食べる。
あぁ、うまい。
ほどよきコシに歯ごたえのある麺。小麦の香りが力強くてこれが讃岐うどんの醍醐味だよなぁ…、ってニッコリします。出汁の香りやうま味が口に広がり明るい酸味がひきしめる汁も旨くてゴクゴク飲んだ。

小エビを殻ごとすりつぶし魚のすり身や豆腐と一緒にまとめ揚げて仕上げた赤天は田舎のゴチソウ。昔、母がよく送ってくれたボクの好物。
ひと口大にちぎって汁にとっぷり浸し軽く温め食べるとエビの香りが引き立つ。

ムチュンと歯切れてすり潰された殻が奥歯にときおり触れる。その食感がなつかしい。

ぬるいといえども汁に浸かった麺の温度はゆっくり上がる。徐々にやわくてなめらかになっていくんですネ…、歯ごたえをなくすかわりにトゥルンと口や喉をなでるなめらかさを手に入れて肉感的になっていく。

ゴリゴリ硬いうどんは本当の讃岐のうどんじゃないんだよなぁ…、この喉越しこそが讃岐のうどんの真骨頂。汁まで全部飲み干して堪能しました、オキニイリ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?