帝劇の下にて焼き鳥5本のお重を喰らう!
焼き鳥丼を食べたいなぁ…、って銀座で思った。
かつてならば銀座8丁目の伊勢廣に行けばよかったのだけど、残念ながら閉店しちゃった。
京橋の本店は立派な改装でちょっとよそよそしくなっちゃったし、ならば帝劇の地下にある伊勢廣に行ってみようかと思って訪ねる。
帝劇といえば「Imperial Theatre」です。インペリアルなる冠をかぶった場所でありながら、気軽で親しみやすい入り口、店の雰囲気、ムードにまずホッとする。
しかも劇場ビルの地下にありながら、炭でガンガン焼いていく。煙がもくもく上がって焼き鳥が仕上がっていくというのがうれしい。こりゃ当たりだなぁ…、って直感します。テーブルの上にはガラスのカップに入った鶏のスープがいっぱい。それから漬物。のんびり料理を待つことにする。
五本重をたのみます。
本店だと丼で出てくるから五本丼。こちらはお重。
ねぎ巻き、もも肉、団子に砂肝、ささみ、皮身にレバー、ささみの中から好みを自由に選べる。
通常の五本重はねぎ巻き、もも肉、団子に砂肝、皮身になるとこ、砂肝の代わりにレバーを焼いてもらってひと揃え。
蓋してやってくるのがお重のうれしいところ。蓋をあけると焦げたタレと煙の香りが立ち上がる。
ここのねぎ巻きはちょっと独特。薄くそいだ鶏むね肉で筒状のネギを巻いて串刺し焼いて仕上げる。ザクザク奥歯で壊れるネギにふっくらとした鶏の胸肉。甘みよりも醤油のコクを感じるタレもスッキリしていて大人味。
ボロっと崩れる団子に脂ののったもも肉、ねっとりとろけるレバーは芯がレアでなめらか。普通ならば絶対食べない鶏皮も、ここのは表面サクサク、噛むとジュワっときれいな脂が滲み出す。炭の香りで鶏の脂独特の匂いがしないところもステキ。
ご飯控えめでお願いすれば、お重の底にうっすらと。海苔をいただきそこにタレと鶏の脂がうつって上の焼き鳥をあっためる。
ボクが小さかった頃、両親がやっていた鰻の専門店にいくと鰻のタレで焼き鳥丼をよく作ってもらった。こましゃくれた子だったから焼き鳥丼を食べて「鰻よりもおいしいネ」って、作ってくれた人を喜ばせようとお世辞をいった。
そしたらそれを聞いていた母に「鰻と鶏を比べるのは鰻にも鶏にも失礼なこと。鰻と違ったおいしさがあるねとお言いなさい」と叱られた。子供心にそのとおりと合点しました。お勉強。