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ジャズを聞きながらアイスコーヒー、サンドイッチ

宿の「ダグ」。映画館ビルの隣の小さなビルの地下一階。

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ボクが新宿に出入りするようになった頃からずっとある。一階のテナントは間、色々入れ替わり隣の映画館も新しいビルになったけどこの店だけは昔のまんま。
なんだかすごくなつかしくって、ひさしぶりににやってきてみる。
ジャズ喫茶です。
小さい頃をクラシックで。思春期はアメリカンポップスに浸って育ったボクの耳にはジャズはまるで異文化で、手の届かない遠くの大人の世界の音のように感じた。だから階段を一段降りるごとに大きくなってく音に、ドキドキしながらやってきたのを思い出す。

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開店12時。明るいうちはティータイム。夕暮れどきからはパブになるというシステムでお茶やサンドイッチを気軽にたのしむことができる。そう言えばティータイムのここに来るのははじめてかなぁ…、ちょっとワクワク。

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外は明るい。一段ごとにジャズの音が大きくなると同時に暗くなってくる。

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階段脇にはバーカウンター。テーブル席がいくつかあって、壁や柱はレンガぶき。木造りのテーブルがちょっと斜めになってたり、同じく木製の椅子がちょっとギシギシしたりといい具合にしおれた感じにニッコリします。

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サンドイッチを注文したら塩とペッパーミルがやってきてペーパータオル。昔と同じデザインのコースターが並んでテーブルの上をにぎやかす。トランペットやサクソフォンが描かれた絵にレコードジャケット。ビクター犬がいたりして昔とちょっとづつ変わってはいるんだろうけど、昔のままに見えるところがオモシロイ。

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アイスコーヒーがまずやってくる。
酸味控えめ、苦味のくっきりとしたアイスコーヒー。
大人味です。お供にクリームが入った大きな洋白製のピッチャー。喫茶店としても一流です。

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サンドイッチはダグウッド。
ダグウッドサンドイッチと言えば、あり合わせの材料をどんどんはさんで、積み上げたサンドイッチのこと。
20世紀のはじめに流行ったアメリカンコミック「ブロンディ」の登場人物のひとり、ダグウッドが作ってよく食べていたからつけられた名前。
…、なんだけど、おそらくここがダグって名前の店だから、それでダグウッドって名前をこのサンドイッチにつけたんでしょう。バゲットにハムとチーズとレタスを挟んで仕上がっている。

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ピッチャーに入ったクリームが乳脂肪分たっぷりで、氷めがけて注いでいくとしばらくずっと氷の上にのっかり漂う。コーヒーと混じり合おうとしないほどにぽってりで、クリームまみれの氷をなめるように味わう。ひんやりとした氷がゆっくりコーヒー味になっていくのがオモシロイ。

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フランスパンはふっかり乾いた食感で、ばっさり歯切れる。ハムは薄くてレタスはシャキシャキ。チーズはバーのおつまみでよく使われる白くてふっかりしたチーズ。塩をパッパとふりほどこしてじっくり噛んで味わっていく。
最初は口の唾液を奪って口が乾いて行くようで、けれどどんどんとろけて混じって口の中でなめらかになる。

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結構、大きな音量でジャズが流れる。なのに決してうるさくない。店の壁や天井、床に音が染み込み空間全体が鳴っているからなんでしょう。ちょっとのんびりいたします。


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