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炉焼きの鮭で昼とする

ひさしぶりに新宿御苑の「炉庵」でお昼。

マンションビルの一階を丸ごと使った炉端焼きの店。
店の真ん中に大きな囲炉裏を設えて、砂を敷き詰めその中央に炭を積み上げ火を焚べる。
周りに串に刺した魚を並べて焼き上げていく。

この焼き方に「原始焼き」って名前をつけて展開しているチェーン店もあるけれど、焼き上げるのにはかなりの熟練が必要なのでしょう。
お店の人がひとり付きっきりで焼いている。
串の角度、刺す位置、方向を加減しながら満遍なく焼き上げていく手際は見事で、その表情は真剣そのもの。炭場は見た目以上に熱いのでしょう…、額から汗がポタポタ滴り落ちる。
チェーン店で誰がこの仕事をしているんだろう…、って思うと不安になってしまうほど。
焼き魚なんてどこにでもありそうで、しかも調理機器任せで簡単に作ろうと思えばできる料理にこれほど手間をかける…、かけ続けるってなかなかできることじゃなく、それをありがたく思う人がたくさんいるということでしょう。開店前から行列でした。

お店の前に今日の定食の献立の札。
並ぶ間に食べる料理を決められる。
「鯖の梅煮」にしようと思って注文したら、今日は仕込めてないんだという。
あら残念と鮭の塩焼き。
酢の物の小鉢をついてちょっと待つ。

お店はたちまち満席で、ウェイティングまでできてくる。
炉端周りがにぎやかになり、10分ほどで料理完成…、やってくる。
惚れ惚れするほど見事できれいな鮭の塩焼き。

焼き上がった分厚い切り身は水分を蓄えたままでふっくら盛り上がってみえるほど。
皮はバリバリに焼き上がっていて、ペロンとキレイに剥がれてくれる。
橋を当てるとホロリと大きく崩れて鮭のおいしい香りがふわっと漂い鼻をくすぐる。食べる前からご馳走です。

まずはハラスをパクッと食べる。脂がジュワッと滲み出し、思わずご飯をねだる味わい。背中に向かって徐々に脂は淡白になり、代わりに鮭独特の強い旨みを香りを濃厚にさせていく。
おいしいなぁ…、ご飯がすすんでしょうがない。

酢物の中にはアサリの剥き身がたっぷり入ってワカメはシャキシャキ。小鉢はきんぴらにしたゴボウにニンジン。出汁のしっかりきいた味噌汁もおいしくて、なによりご飯がおいしい。

ひと口分のご飯を残し、鮭の皮とお皿に残った鮭の身、タクワンをあしらってお湯をかけてサラサラ食べる。こんがり焼けた鮭皮のこげた香りに脂がお茶に染み出して味が整うオゴチソウ。


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