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店は変わった。されど商品は変わらず、それがありがたい。

ひさしぶりの「伊勢廣」にくる。

店がある京橋界隈は再開発で街の景色がすっかり変わった。
ここも風情のある路地が根こそぎ更地になって、その向かい側の立派なビルにお店が移った。

焼き鳥の専門店で「鳥の字」をデザインしたキャラクターが随所に配され、新しいのに老舗の風情。店に入ると大きく弧をなすカウンター。炭場が置かれて煙がもくもく上がり、カウンターの裏の仕込み場では何人もの職人さんが串打ち仕事をテキパキしている。

2階、3階へのエレベーターは数人単位でのご案内。しばしおいしい匂いを嗅ぎながら待つのも粋とにっこりします。

案内されたのは三階の席。フロアの真ん中にカウンターがあり、どの席からもカウンターの仕事を感じることができる設えに感心します。良いお店。
カウンターの席をもらってのんびり待ちます。マスク入れにも「やき鳥」マーク。白木のカウンターの初々しさにもうっとりします。

のんびり待って料理の到着。

ここでは必ず注文するのが「5本丼」。
焼き鳥五5本をご飯の上に並べた丼。

ささみにもも肉、団子に皮身にレバーで5本。ささみと団子は塩焼きでそれ以外はタレをまとわせ炭でこんがり焼かれてる。
ささみの上にはわさびがたっぷり。ふっくらしていてゆっくりやさしくほぐれてく。

ネギとししとうを挟んだももは、力強くてよき噛みごたえ。奥歯で潰れてジュワっとおいしいジュースが滲む。タレがさっぱりとした味わいだから鳥そのものの持ち味が壊れずおいしくなっていくのがまたゴチソウ。
レバーはツヤツヤ、ブリッと焼かれてる。最初はちぎれまいと必死に抵抗するのだけれど、バリンと膜が破れた途端にねっとりとろけて滋養に満ちた味が口に広がる。

ずっと鳥の皮は食べられないと思ってた。ブヨブヨクニュクニュ、脂の臭みがどうにも苦手で嫌っていたけど、ここで食べた皮身のおいしいことにビックリ。脂がしっかり焼き切れてサクサク壊れる感じが絶品。脂がしたたり炭に当たって煙になって、それが皮身に香りをつける。ご飯と一緒に食べると特においしくて、5本の中でも好きな一本。
ザクっと壊れてバサっと散らかる団子の騒々しさもおいしくてあっという間にお腹にきれいにおさまっていく。
ご飯の上に海苔ののせらえタレがちょろんとかけられている。乗せられた焼き鳥が冷めない程よい温度のご飯がうっすら。口が広くて浅いボウルのような丼がここ独特のオリジナル。すべてが主役の焼き鳥をおいしく食べるための工夫のもてなし。オゴチソウ。


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