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みぼうじん(の甘やかにして肉感的でやさしい)カレー

「みぼうじんカレー」って名前の店。
かなりインパクトの強い店名です。そういう店に限って名前のインパクトに中身が追いつかないところが多くて来ようかどうしようか迷ってた。
場所は新橋の駅前。ニュー新橋ビル。

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サラリーマンの殿堂にあって「みぼうじん」を店名にする。
ますますあざとく、でも強烈に気になってやってきました。ビルの3階。フロア案内図にも堂々と「みぼうじんcurry」と記入されてた。お店の外観はかわいらいいカフェ風。中に入るとスナックだったのか、喫茶店だったのか、長いカウンターの中に厨房。ソファ席がいくつかあって、窓の外には新橋駅の山手線のホームが見える。

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ちなみに店名の由来を聞くと、お店のオーナーのおかぁさんが早くして未亡人になった人で女手ひとつで子供を育てた彼女の作るカレーが本当においしかった。そのレシピをベースにカレーを作っているから名前が「みぼうじんカレー」になったんだという。

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メニューは野菜炒めカレーだけ。野菜炒めがどっさり乗っているのも、子供に野菜をたっぷり食べさせたかった母心から…、だったのかなぁ。ビーフとチキンも選べてボクはビーフカレーのご飯少な目をお願いしました。
厨房からは野菜を炒める音がする。ジャジャッジャジャッと湿った音が徐々に乾いた音に変わって、炒めあがりを予感させる。すでにカレーの香りが鼻をくすぐり、お腹をすかす。

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楕円形の大きなお皿にかなりたっぷり。野菜炒めは山盛りで湯気がフワフワ漂っている。紙ナプキンでギュッと縛るように包まれたスプーンにフォーク。汗をかいても大丈夫なよう分厚いタオル生地のおしぼり、冷たいお水。テーブルには氷がギッシリ入った水のピッチャーがある。

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ここの野菜炒めはそれ自体がカレー風味で仕上げられている。
だから野菜だけを食べてもカレーの味がするのがうれしい。
カレーそのものは濃厚味。
一口目にはかなり甘い。
ところが食べていくうちにスパイシーで胡椒のうねるようなどっしりとした辛味が舌の上に残って、汗を誘い出す。

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一方、野菜炒めのカレー風味はスッキリとした軽い辛味で口の中がさっぱりしてくる。
カレーの中には薄切りにした牛肉たっぷり。
炒めたものをカレーにくわえて軽く煮込んでいるのでしょう…、牛肉らしい歯ごたえがあり炒められた肉独特の風味もおいしい。噛みしめて顎においしいカレーというのもまたオモシロイ。

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淡路玉ねぎのピクルスが口直しにとやってくる。カレーが4分の1ほどになったところでそのピクルスをバサッとカレーにのっけて食べる。サクサクとした歯ざわりと酸味と甘みがカレーの味をスッキリさせる。みずみずしさもオゴチソウ。
ところでお店の名前以上にボクが気になっていたのが、野菜炒めをカレーにのせるというこのレシピ。実は山形の新庄という街に「エンジェル」という喫茶店があって、そこのカレーが野菜炒めがたっぷりのっかったカレーで人気。もしかしたら由縁があるのかと思ってお店の人に聞いてみたら、同じようなカレーが他にもあるなんて…、ってびっくりしてた。
どちらかがどちらかに影響を与えたわけでなく、自然発生的に生まれた工夫の料理だったのですね。オモシロイ。他にもこういうカレーを売ってるお店があるかもしれないなぁ…、と思ったりした。今日の昼。


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