共栄堂のスマトラカレー。〆にさぼうる、アイスコーヒー
ひさしぶりに水道橋の駅でおりた。
半年ぶりくらいかなぁ…、神保町に向かって歩いていたらそこここに更地ができてた。
昭和風情ののどかな町もゆっくり変わっていくんだろうなぁ…、大きなビルは町の景色を変える以上にそこに根付いた商売を変えてしまうのが少々切ない。
ただ水道橋の駅近くにあった丸亀製麺が閉店してた。
水道橋いから神保町にかけてはチェーンストアが似合わない町。安くてうまい店がひしめき合っているから丸亀製麺は必要なしってことになったのであれば悪くない。
キッチングランに行こうと思った。けれど配膳係のおばあさまがいらっしゃらずご主人孤軍奮闘で、それが切なく遠慮した。
代わりに今日は「共栄堂」。
カレーのお店でございます。
ビルの地下ではあるけれど地上に抜けた吹き抜けに面した造り。
明るくて良い。店の人はその窓越しに空を見上げて待機する。階段を降りてくる人を見ると身構え、お店のドアが開くとすかさず案内。気持ちいい。
チキンカレーのルー大盛りをお願いします。
ポタージュスープとお冷にレードル、スプーン、おしぼりが運ばれてきて、ほんの少しの時間差でカレーとご飯がやってくる。
ソースポットになみなみです。
緑色がかった茶色いカレーに生クリームが浮かんでて、中には鶏肉がゴロゴロしてる。
カレーはサラサラ系だけどスープカレーれーのように水っぽくなく軽くとろみのついたソースみたいな風合い。ご飯にかけるとほどよくからむ。
そして鶏肉のひと切れが大きい。しかもよく煮込まれていてカレーに繊維が混じって見える。
スプーンで押せばクチャっと潰れてご飯と一緒に口の中へとやってくる。
どこかツナの切り身のような食感がある。皮は剥がれて脂も気配もないからとても食べやすく、ほぐれてとろける感じがおいしい。
カレーは辛さ、うま味がほどよくて香りふくよか。軽い渋みが良きアクセント。
らっきょうや福神漬けが大きなポットにぎっしり入って用意されてて自由に使える。らっきょうをコロンと転がしカレーと一緒にすくって食べる。
カリカリクシュっと潰れる食感、酸味がカレーにおいしい輪郭作ってくれる。
刺激を求めるカレーが多い。
お腹いっぱいを狙うカレーも多いけれど、ここのカレーは低刺激。お腹にやさしく滋養たっぷりって感じがうれしい。オゴチソウ。
さぼうるに来てアイスコーヒー。
「甘いのにしますか、甘くないのにしますか」って聞いてくれるのが昭和な喫茶店的で好き。
甘いのもらってミルクを注ぐ。乳脂肪分たっぷりのミルクがしばらく氷の上に浮かんでゆっくり混じってく。
塩ピーナツをカリカリ齧ってコーヒーコクり。のんびりすぎる時間がご馳走。
ところでひさしぶりにここのトイレに入ったのね。そしたら最新式のタンクレストイレになっていた。設えもあたらしく清潔でトイレットペーパーもしっとりとした紙質の二枚重ねの上等なもの。こういうところにお金を惜しまぬお店はいい店。オキニイリ。
ところで今日はすごい人がいた。
さぼうるの隣に「さぼうる2」ってお店があって喫茶店のスパゲティが売り。
ランチどきにはいつも行列。
だからさぼうるにくると必ず「お飲み物でいいですか?」ってお店の人が聞くんですネ。
身なりのいい妙齢のおばさまがやってきて、「ここは同じさぼうるでしょう、なんでここでスパゲティが食べられないの」とおっしゃるのネ。
それはできかねます…、って言っても「出前すればいいだけじゃない…、隣なんだから。本当に失礼しちゃうわ」ってプンプンしながら出ていった。
客商売って大変だなぁって思った。なやましい。
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