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餃子の王さまの王さまの餃子

「餃子の王さま」という店がある。
王将じゃなくて王さま。王将は1967年創業、王さまは1954年開業というから王さまの方がずっと古い。王将は1000軒を超える上場企業、王さまはここ1店舗。
この町、この場所、この商品でお客様に愛し続けてもらえるならば、店を増やす必要もなし。お店の人が店を増やさずとも食べることが出来、しあわせならばなおよしというコト。いとおしい。

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一階がキッチン、そしてカウンター。2階にテーブル席がある。
餃子だけでなく麺類中心にメニューは多彩。きれいに整えられたショーケースの中もにぎやか。店の周りにはニラの匂いが漂っていて、お腹を鳴らす。
売り物の餃子は4種。王さまの餃子と肉餃子、水餃子にスープ餃子。全部食べたいとこだけど、お腹の容積に限りがあるから王さま餃子をまずたのむ。

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料理に心得のある人ならば「こうすれば料理は絶対おいしくなる」という原則があることを知っている。
例えば餃子ならば、くるみたてを焼けば絶対おいしい。
なのに忙しいからとか、手がかかるからとかいろんな理由をつけて作り置きの餃子を焼く。凍っていてもお構いなし…、というのが日本の餃子の現実です。
ここがここ一軒でずっと続いてこられた理由が原則を守ったから。
注文すると中国語を話す女性スタッフがテキパキ、餃子を握りはじめる。
それをじっくり、時間をかけて焼き上げた餃子の姿がまずうつくしい。

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表面カリッと揚がったように焼き上げられて、噛むとザクッと歯切れてなかからとろりと野菜の餡が出てくる。

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生地の内側はむっちりしていて、ニラやキャベツの食感、香りに旨味をひきうけ口の中をおいしくさせる。自家製のラー油に醤油、そしてお酢。すべてが野菜の持ち味をおいしくたのしむためにある。

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餃子のお供は「みそそば」にした。
味噌ラーメンじゃなくて「みそそば」。太い麺をスープに沈めて上にもやしをたっぷりのせる。その真中に味噌にネギ。味噌を溶かしながら食べるというもの。
この味噌がおいしい。甘めの味噌に炒めたひき肉、ニンニクだとか脂が混ぜ込まれていて溶かしたところがたちまち味噌ラーメンのスープになってく。

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スープ自体は麺を茹でた茹で汁みたいな素直な味で、なのにまるでもやしと一緒に鍋で炒めて仕上げたようなスープの風味になっていくのがなんとも不思議。シャキシャキのもやしまでもがおいしくなって、ボソボソとした太麺をもぐもぐしながらスープをゴクリ。そして餃子をパクリと食べて、お腹が満ちる。ハッカの飴をもらって店をあとにする。

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