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銀座のたらちゃんはブゴク専門!

来たかったお店を探して東銀座をぶらり歩いた。
「たらちゃん」って名前の韓国料理のブゴクの専門店。
干し鱈をコトコト煮込んで作るスープがブゴク。だからお店の名前が「たらちゃん」となんと洒落ててかわいらしい名前だろう…、って看板を探して歩くも見当たらない。
スマフォの地図ではこの辺りってなっているのにあるのは古くて間口の狭いビル。

看板はなく窓の上に彫金の魚の骨が貼られてるだけ。
もしかしてあの魚の骨が看板がわり?と思って鼻をクンクンさせると、おいしい匂いがするではないの。
おそらくここに違いないとドアを開けると「こんにちは」って明るい声ででむかえられる。
いらっしゃいませでなく、こんにちは。とても自然であたたかい。
「券売機で食券を買ってください」って教えてくれて、券売機を見るとあるのはブゴク定食1100円だけ。たしかにそこは「たらちゃん」でした。

カウンターに座ると目の前が厨房です。

IHヒーターの上に寸胴鍋が置かれててそこでスープが炊けている。おいしい湯気で向こうがちょっと煙って見える。

壁には陶器のボウルにステンレス製の飯器。グラスに混じってスープの材料の昆布や調味料が入った器が並んでる。寸胴鍋から手鍋にスープを移して早速ブゴクがテキパキ炊かれてく。

白菜キムチとネギキムチ、胡椒の混ざった塩が入った器が並ぶ。キムチは好きにお食べくださいとすすめられ、大根の水キムチもどうぞと渡される。

白菜キムチは熟成きいてて酸っぱくてネギのキムチはシャキッと甘い。

ほどよく酸っぱい汁に浸かった大根はサクサク歯切れ、汁をすするとお腹の入り口がパカンと開く。

ちぎった干し鱈、干した豆腐の薄切りをスープと一緒にコトコト炊てく。
ほどよいところで火力を強め沸騰させて溶いた玉子を注いで仕上げる。ネギをちらして出来上がり。

白濁したスープはおそらく干し鱈から出るゼラチン質のせいでしょう。
とろんとなめらか、ツヤツヤしてる。
まずはひと口、スープをすすると調味料の味はかすかで干し鱈から出るうま味が素直に口に広がる。
それがなんともおいしくて、力強いのにやさしい味わい。

ひと口目よりふた口目。ふた口目より三口目がと食べすすめるにしたがってどんどんおいしくなっていく不思議なおいしさ。しかも唇同士が張り付くほどにスープに溶けこむタラの成分、ゼラチン質の力強いこと。滋養に満ちたおゴチソウ。

発酵させたオキアミが添えられている。

磯の香りとうま味が一層深まる。
スープをたっぷり吸い込んでふっくらとした玉子のやさしい食感、そしてやさしい味わい。干した鱈はザクザク繊維が壊れる感じがたのしくて、スプーンを持つ手が休まらない。

キムチを入れれば味が変わるに違いなく、けれどあまりにスープがおいしくてそのままずっと味わいたくなる。だからキムチを頬張って、すかさずスープをゴクリと飲んで、口の中での味の変化をたのしみ食べる。
ご飯をハフっ…。お米の粒がスープをからめてスベスベしていくさまがなんともおもしろく、あっという間に器は空っぽ。お腹もしっかりあったまる。

ごちそうさまと席をたったら「またおこしください」って送りだされる。「はーい、また」って素直に答えた。オキニイリ。


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