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40点を目指す講義NO.24 国土利用計画法の全体像



今回の内容は、YouTubeで視聴できます。

1.国土利用計画法の全体像


国土利用計画法は、1974年に、重要な資源である国土を総合的かつ計画的に利用を図ることを目的に定められました。1974年は、高度経済成長期の終わりころになります。

1974年ころは、日本の人口は、右肩上がりの状態でした。そして、団塊の世代を中心にして、結婚して子育てをする際に、都市に隣接した郊外がよいということで、郊外の住宅需要も旺盛な時期でした。そのため、全国的に土地の乱開発や投機取引があったりして、地価の高騰や環境破壊も社会問題となっていました。そこで、このような社会問題に対処するため、国土利用計画法が制定されたという経緯があります。


(1)国土利用計画法の目的と体系


国土利用計画法の目的

ここで注意してほしいのは、国土利用計画法は、国土や地価に関する法律であって、建物を規制するものではないということです。

以上の2つの目的を達成するため、国土利用計画法は、3つの仕組みを用意しています。

①国や自治体は、国土利用計画を定め、そして、各都道府県は、その区域内を5種類の地域(都市地域、農業地域、森林地域、自然公園地域、自然保全地域)に区分する土地利用基本計画を定める。

②適正な土地利用と地価の抑制を目的として、土地取引の規制を行う。

③遊休土地に関する措置を設ける。

以上の3つのうち、宅建試験では、②の土地取引の規制が出題されます。


(2)土地取引の規制


②適正な土地利用と地価の抑制を目的として、土地取引の規制を行う。

この土地取引の規制は、具体的には、土地取引の段階でいくつかの手段があります。


事後届出制は、適正な土地利用に目的の重点があります。

事前届出制と許可制は、適正な土地利用の目的だけでなく、地価の抑制も同時に目的ではあります。

では、どのような場合が届出制(事前届出制OR事後届出制)で、またどのような場合が許可制なのか。

日本の国土の中で、それぞれの区域を設定しています。

土地取引の規制については、国土を地価上昇による影響の度合いに応じた区域に分けております。具体的には、規制区域・監視区域・注視区域・区域指定なしと分類しています。

規制区域は、以下のように指定されます(国土利用計画法第12条第1項)。

・都市計画区域内では、土地の投機的取引が相当範囲にわたり集中して行われ、または行われるおそれがあり、地価が急激に上昇し、または上昇するおそれがあると認められる区域で指定されます。

・都市計画区域外では、投機的取引が行われ、地価が急激に上昇すると認められる場合において、その事態を緊急に除去しなければ適正かつ合理的な土地利用の確保が著しく困難となると認められる区域で指定されます。

監視区域は、地価が急激に上昇し、または上昇するおそれがあり、適正な土地利用が困難となるおそれがある区域です(国土利用計画法第27条の6)。ちなみに、現在は東京都小笠原村のみが指定されています。

注視区域は、一定期間内に相当な程度を超えて地価が上昇し、または上昇するおそれがある区域です(国土利用計画法第27条の3)。

区域指定なしは、規制区域・監視区域・注視区域以外の土地で、一定面積以上の土地、一団の土地の取引を行う場合を指します。

宅建試験では、事後届出制の部分がよく出題されます。

そして、売買の対象となる不動産が規制区域内・監視区域内・注視区域内・その他一定規模以上の土地や一団の土地に該当する場合には、重要事項説明が必要になってきます。


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