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医学概論NO.13 ソーシャルワークを極める講座 感覚器系



今回の内容は、YouTubeで視聴できます。


心身機能と身体構造の概要の続き


(9)感覚器系


1)感覚器とは


感覚器系を確認していきます。

感覚器系とは、動物の体を構成する器官のうち、何らかの感覚情報を受け取る受容器として働く器官のことです。

感覚器系は、末梢神経系の一部になります。受け取った情報は、ニューロン(神経細胞)を介して中枢神経系へと伝えられます。

感覚器としては、光に対する視覚器、音に対する聴覚器、化学物質に対する嗅覚器・味覚器、機械刺激(物理的な力)に対する触覚器などが挙げられます。

感覚器は、光、音、におい、味、圧力等の感覚を受容し、神経を介して脳に伝えます。

ヒトの場合、その代表的な感覚器には、目、耳、鼻、舌、皮膚などがあります。

ここでは、試験で問われる傾向にある聴覚、平衡感覚、視覚のみを見ておきます。


2)耳に係る感覚器


耳というのは、聴覚だけではなく、平衡覚。この2つの機能を担っています。

聴覚を司る耳は、外耳、中耳、内耳の3つからできています。


外耳と中耳の境目に皮膚の一種である鼓膜があります。このみどりの部分です。

平衡覚は、身体のバランスを保つために必要な感覚です。

平衡覚に関わる器官は、内耳にある半規管と前庭です。

半規管より回転運動を感受し、前庭より身体の傾きを感受するという重要な役割を担っています。
ちなみに半円形をしたチューブ状の半規管が3つあるので、三半規管と言います。

半規管や前庭で感受されたものは、内耳神経を通じて中枢神経である脳に情報を伝達します。


第31回第2問の選択肢

人体の各器官の構造と機能に関する問題で、「三半規管は、外耳と中耳の境目に位置する。」との内容の正誤が問われています。





この選択肢は、誤りです。
三半規管は内耳にあり、平衡感覚に関係します。外耳と中耳の境目に位置するのは、鼓膜です。


3)目に掛かる感覚器(視覚)


視覚は、眼球等によって司っています。

光は、角膜、瞳孔(眼の中央の光を通す領域)、レンズ体(水晶体)、硝子体、そして、目の奥にある網膜内の視細胞に感受され、視神経、視覚中枢と伝えられる順番になります。

眼球の構造
眼球の断面図

眼球を正面から見た図

虹彩は、眼球の前面、ひとみの周りにある円盤状の膜になります。
瞳孔が大きくなったり小さくなったりする場合、虹彩が広がったり縮んだりする結果、瞳孔の大きさが変わって見えるという構造になっています。瞳孔が大きくなったり、小さくなったりするわけではありません。カメラに例えると虹彩は絞りに相当します。
強膜は、白目の部分です。
網膜は、視覚的な映像(光情報)を神経信号(電気信号)に変換する働きがあり、カメラでいうとフィルムのはたらきをしています。
視覚中枢は、脳皮質の後頭葉にあり、視覚に関与する神経中枢になります。

もう一度確認しますが、光が伝えられる順番としては、角膜、瞳孔、レンズ体(水晶体)、硝子体、そして、目の奥にある網膜、視神経、視覚中枢という順番になります。


目に係る疾患について

よく網膜剥離になったという話を聞きます。
網膜剥離は、このイラストの網膜の部分が剥がれるわけです。生活をしている中で、急に大きな影のようなものが見えるようになった場合には、網膜剥離が疑われますので、注意が必要です。

また、加齢によって、水晶体の混濁が起こって、白内障の頻度が増すということがあります。

それに加えて、眼球運動速度が低下して、身体運動能力が低下してくるということにもかかわってきます。

それと、加齢によって、涙量が減少してくるので、目の乾燥感が生じます。

また、水晶体の弾力も低下してくるので、遠近の調節力が低下してきて、老眼に大きく関わってきます。

それ以外には、加齢黄斑変性症、緑内障、糖尿病性網膜症などがあります。

加齢黄斑変性症は、網膜の中心部である黄斑が傷害され、まず視野の真ん中、すなわち、最も見ようとするところに症状が出て、物がゆがんで見えたり、小さく見えたり、暗く見えたりします。その後に視力が低下します。

緑内障は、眼圧が異常に上がって、視野狭窄や眼痛を来すものになります。

糖尿病性網膜症は、眼底出血などが発生し、進行すると、失明します。
眼底出血は、網膜の血管が閉塞して血液が血管から漏れ出したり、脆くなって破れてしまい、網膜内に出血をすることです。


第36回問題4

目の構造と病気に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 眼球の外層にある白目の部分は角膜である。

2 白内障は水晶体が混濁してものが見えにくくなる。

3 緑内障は眼圧が下がって視野障害を来す。

4 加齢黄斑変性症では視力は保たれる。

5 糖尿病性網膜症では失明は起こらない。



解説

選択肢1は、✖
眼球の外層にある白目の部分は、「強膜(きょうまく)」です。
角膜は、目の中央にある直径1㎝くらいの円形の組織です。
角膜は、光を通すために透明で血管を持たず、日本人では黒く見えるので、黒目と言われています。

選択肢2は、〇

選択肢3は、✖
緑内障は、眼圧が異常に上がって、視野狭窄や眼痛を来すものになります。

選択肢4は、✖
加齢黄斑変性症では視力は低下します。
加齢黄斑変性症の症状としては、網膜の中心部である黄斑が傷害されますので、まず視野の真ん中、すなわち、最も見ようとするところに症状がでます。物がゆがんで見えたり、小さく見えたり、暗く見えたりします。その後に視力が低下します。

選択肢5は、✖
糖尿病性網膜症は、眼底出血などが発生し、進行すると、失明します。
眼底出血は、網膜の血管が閉塞して血液が血管から漏れ出したり、脆くなって破れてしまい、網膜内に出血をすることです。



耳に係る疾患について

難聴について触れておきます。

よく耳が聞こえづらくなるということがありますが、基本的に、生理的な老化というものは、高音領域から起きてきます。なので、日常的な会話では使わない音域から、生理的な老化による難聴が現れてきます。

それから、加齢によるものとしては、内耳より中枢側の神経機構で問題が生じる感音難聴というものが課題になってくることがあります。
感音難聴は、突然、変則性(規則正しくないという意味)で、耳鳴りやめまいを生じます。

めまいについては、良性の発作性のめまい(良性発作性頭位めまい症)やメニエール病もあります。

メニエール病とは、体の平衡感覚をつかさどる耳の奥の内耳にリンパ液がたまることによって生じる病気です。
メニエール病は、30~50歳代で発症することが多いです。
メニエール病を発症すると、耳が詰まったような違和感や軽度の聴力低下が引き起こされます。そして、体の平衡感覚に異常が起きて回るようなめまいが生じ、耳鳴りが起こるようになるとされています。


第29回第2問の選択肢

加齢に伴う生理機能の変化に関する問題で、「聴力は高周波音域から低下する。」との内容の正誤が問われています。





これはその通りです。
同じような問題が、第34回第1問でも出題されています。

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