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40点を目指す講義NO.22 建築確認の手続の流れ



今回の内容は、YouTubeで視聴できます。


1.建築確認の手続


建築確認申請から使用開始までの流れ(建築主事による手続の原則的な流れ)

*1 建築等の計画が、「建築基準法令の規定(建築基準法・命令・条例の規定)」、その他建築物の敷地、構造または建築設備に関する法律・命令・条例の規定で、政令で定める「建築基準関係規定(これには都市計画法などの規定も含む)」に適合しているのかを建築主事が確認する。

建築主による建築確認申請があると、建築主事は、受理したときから一定の期間内に、確認を行う必要があります。

・A~Cの大きな建築物の場合・・・申請から35日以内(Dの5倍が35日)
 A 一定の特殊建築物
 B 大規模建築物(木造)
 C 大規模建築物(木造以外)

・Dの一般の建築物の場合・・・申請から7日以内

なお、建築確認の際に、その建築物の計画が構造計算適合性判定(建築物が一定の構造計算に係る基準に適当するか否かの判定)を要する場合(建築物の高さが高いものの場合)は、建築主から適合性判定通知書等の提出を受けたときに限り、建築確認を行うことができるということになっています(建築基準法第6条の3)。
建築主は、一定の場合に、都道府県知事や知事等の指定を受けた構造計算適合性判定機関に判定を申請し、その結果を記載した適合性判定通知書の交付を受けるということになっています。

建築主事は、建築確認を行う場合、建築物の工事施工地等を管轄する消防署長などの同意(いわゆる消防同意)を得る必要があります。
但し、防火地域や準防火地域以外の区域で行う住宅(長屋、共同住宅は除く)の建築の場合は、同意は不要です(建築基準法第93条第1項)。

*2 階数が3以上の共同住宅の床および梁(はり)に鉄筋を配置する工事の工程のうちの一定の工程や特定行政庁が指定する工程(特定工程)に係る工事を終えたときは、その都度(工程を終えてから4日以内に建築主事に到達)、中間検査を申請しなければなりません(建築基準法第7条の3、4)。
建築主事は中間検査の申請を受理した日から、4日以内に検査し、規定に適合するときは、中間検査合格証を交付しなければなりません。この中間検査を終え、中間検査合格証の交付を受けないと、その後の工事ができません。

*3 建築主は、工事が完了したら、工事完了検査の申請をして(建築基準法第7条第1項)、工事完了の日から4日以内に建築主事に到達することが必要です(同法第2項)。

*4 建築主事は、工事完了検査の申請の受理後、7日以内に検査をして、問題がなければ検査済証を交付することになります。
その後、建築主は、使用開始が可能となります(建築基準法第7条の6)。

建築物の使用開始の時期

*1 一般の建築物 例えば、木造2階建の戸建住宅など


平成15年問題20

防火地域内において、地階を除く階数が5(高さ25m)、延べ面積が800㎡で共同住宅の用途に供する鉄筋コンクリート造の建築物で、その外壁が耐火構造であるものを建築しようとする場合に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 当該建築物は、防火上有効な構造の防火壁又は防火床によって有効に区画しなければならない。

2 当該建築物について確認をする場合は、建築主事又は指定確認検査機関は、建築物の工事施工地又は所在地を管轄する消防長又は消防署長へ通知しなければならない。

3 当該建築物には、安全上支障がない場合を除き、非常用の昇降機を設けなければならない。

4 当該建築物は、外壁を隣地境界線に接して設けることができる。



解説

選択肢2は、誤りです。
建築確認をするに当たって、建築主事又は指定確認検査機関は、原則として、消防長又は消防署長の同意(いわゆる消防同意)を得る必要があります(建築基準法第93条第1項)。但し、例外があります。建築に係る建築物が防火地域及び準防火地域以外の区域内における住宅である場合等は例外的に消防同意は不要です。
選択肢では、防火地域内であり、消防同意が必要であり、通知するだけでは不十分です。



2.違反建築物に対する措置等


万一、違反建築が行われてしまった場合、誰がどのような措置等をとることができるのか。

特定行政庁(建築主事を置く市町村の区域については当該市町村の長をいい、その他の市町村の区域については都道府県知事 建築基準法第2条第35号)は、建築主や工事請負人または建築物の所有者などに対し、以下の措置をとることができます(建築基準法第9条)。

・工事の施行停止命令

・猶予期間を設けた上で除却、使用禁止などを命じる

なお、これらの措置をとる前に、意見書の提出の機会の付与などの一定の手続を経る必要があります。

ただし、緊急の場合は、一定の手続を経なくても、仮の使用禁止などを命じることもできます(建築基準法第9条第7項)。


3.仮設興行場等に関する特例


建築基準法第85条第6項
特定行政庁は、仮設興行場、博覧会建築物、仮設店舗その他これらに類する仮設建築物(以下、「仮設興行場等」という。)について安全上、防火上及び衛生上支障がないと認める場合においては、1年以内の期間を定めてその建築を許可することができます。
なお、この場合、建築基準法の一定の規定(大規模の建築物の主要構造部等の規制、屋根規制、外壁規制など)は適用されません。しかし、建築確認は不要とはなりません。

建築基準法第85条第7項
特定行政庁は、国際的な規模の会議又は競技会の用に供することその他の理由により1年を超えて使用する特別の必要がある仮設興行場等について、安全上、防火上及び衛生上支障がなく、かつ、公益上やむを得ないと認める場合においては、第6項の規定にかかわらず、当該仮設興行場等の使用上必要と認める期間を定めてその建築を許可することができます。この場合においては、あらかじめ、建築審査会の同意を得る必要があります。

「2020年東京オリンピック」の開催がありましたが、その際の準備やプレ大会等に必要な建築物をスムーズに建築できるようにするために規定された条文になります。
プレオリンピックとは、オリンピック大会に向けて、その開催都市で事前に行われる競技大会です。競技施設や大会運営などをテストする目的で実施されます。
1964年東京オリンピック前年の1963年に大会組織委員会が競技の運営に万全を期すため、諸外国に呼びかけて「東京国際スポーツ大会」を開いたということがありました。それ以後、オリンピック大会の前年に類似の大会を開くようになったという経緯があります。


4.不服申立て


特定行政庁・建築主事等の処分があった。また、これに係る不作為があった。
これらに対して、不服がある者は、どこに不服を申し立てればよいのか?

建築審査会に審査請求をすることができます(建築基準法第94条)。

審査請求後の建築審査会の裁決に不服がある者は、どこに不服を申し立てればよいのか?
国土交通大臣に対して再審査請求をすることもできます(建築基準法第95条)。

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