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40点を目指す講義NO.17 容積率



今回の内容をYouTubeで学習できます。


1.容積率とは


容積率とは、建築物の延べ床面積の、敷地面積に対する割合のことです。

延べ床面積は、建物の各階の面積の合計を指しています。

敷地面積は、建物を建てる土地の面積を指しています。

容積率の式

容積率=延べ床面積/敷地面積*100

例えば、敷地面積 200㎡、各階の床面積 150㎡の3階建ての場合の容積率は?

容積率は、 150*3/200*100=45/20*100=9/4*100=225%

この容積率が大きいほど、大きな建物をつくることができ、土地の利用度が高まります。

では、200㎡の土地を仮定して、容積率が200%の場合、延べ床面積の上限は?

計算式
敷地面積*容積率=延べ床面積の上限
200㎡ * 200%=400㎡

つまり、この土地には延べ床面積が400㎡までの建物を建てられるということになります。


2.容積率の制限


(1)地域別の容積率(建築基準法第52条第1項)


容積率の制限の一覧表

容積率は、用途地域においては、一覧表のそれぞれの数値から、都市計画で定められます。これを指定容積率といいます。

では、用途地域別に容積率の制限をしているのはどうしてか?

各用途地域によってそのエリアの性質が異なります。なので、そのエリアの性質ごとに容積率を制限する必要があるからです。
例えば、第一種低層住居専用地域は、閑静な住宅街ですから、このエリアにおいて、どれだけでも大きな建物を建築できるとなると、人口が多くなり、交通量も増えたりして、閑静な住宅街という第一種住居専用地域の性質にそぐわない事態になり、これを避けるために用途地域別に容積率の制限をしています。


(2)前面道路の幅員による容積率(建築基準法第52条第2項)


敷地に面している前面道路の状況によって容積率を修正しています。
というのは、前面道路が狭いときの道路の混雑を考慮する必要が出てくるからです。
そこで、前面道路の幅が、12m未満の狭い場合は、都市計画で定められている指定容積率と、道路幅(m)に一定の数値(乗数)をかけた数字(基準容積率)とを比較し、より厳しい(小さい)ものが、その敷地の容積率となります。
要するに、前面道路の幅が12m未満の場合には、指定容積率いっぱいの建物が建てられないということです。
逆に言うと、前面道路の幅が12mある場合には前面道路容積率(基準容積率。幅員容積率とも言います。)を考えないということになります。
なので、例えば、指定容積率が20/10、前面道路幅員14m、住居系用途地域の場合の容積率は、20/10(200%)となります。



前面道路容積率の計算式

道路幅(m)*一定の数値(乗数)=基準容積率
この乗数については、この一覧表を見てください。

・住居系の用途地域の場合は、原則として、40%です。

・その他の用途地域の場合は、原則として、60%です。

この二つのパターンがあります。

例えば、指定容積率300%の第1種住居地域で、幅員6mの前面道路に接する場合には、

6m×40%=240%(基準容積率)<300%(指定容積率)

となります。
この場合には、指定容積率と基準容積率とを比較し、より小さい方の基準容積率を適用することになります。従って、この土地の容積率の上限は、240%となります。

なお、ここで皆さんにおいて注意する点があります。
建ぺい率に関しては、前面道路の幅員による制限はないという点です。この点は混同しがちな部分です。試験でもひっかけ問題がよく出題されます。なので、十二分に気を付けてください。

では、敷地が2つ以上の道路に面している場合にはどのように考えるのか。

このような場合については、建築基準法第52条第2項に規定があり、最も広い道路の幅で計算することになります。但し、前面道路の幅員が12m未満の場合に限ります。
前面道路の幅員の最大の数値を用いて算定するのは、広い道路の方へ人が流れていき、混雑が緩和されるからです。

例えば、各道路幅が、6mと8mの場合には、道路の幅の広い8mを道路幅として計算をすることになります。

また、セットバックが済んでいない2項道路は、前面道路の幅員を4mとして計算します。


平成3年問題23

建築物の容積率及び建蔽率に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 第一種中高層住居地域内で、かつ、防火地域内にある耐火建築物についても、建蔽率の制限は、適用される。

2 建築物の敷地が近隣商業地域と商業地域にわたる場合においては、容積率は、商業地域の容積率による。

3 第一種低層住居専用地域内の建築物については、建蔽率は、2/10以下としなければならない。

4 工業地域又は工業専用地域内にある建築物であれば、容積率は、前面道路の幅員による制限を受けない。



解説

選択肢4は、誤りです。
建築物の前面道路(前面道路が二以上あるときは、その幅員の最大のもの。)の幅員が12m未満であるか否かがポイントになります。
前面道路の幅員が12m未満である場合には、当該前面道路の幅員のメートルの数値に法第52条第2項各号に定められた数値を乗じたもの以下である必要があります(建築基準法第52条第2項)。そして、このルールは、工業地域や工業専用地域においても適用されます。


平成29年問題19

建築基準法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 都市計画区域又は準都市計画区域内における用途地域の指定のない区域内の建築物の建蔽率の上限値は、原則として、法で定めた数値のうち、特定行政庁が土地利用の状況等を考慮し当該区域を区分して都道府県都市計画審議会の議を経て定めるものとなる。

2 第二種中高層住居専用地域内では、原則として、ホテル又は旅館を建築することができる。

3 幅員4m以上であり、法が施行された時点又は都市計画区域若しくは準都市計画区域に入った時点で現に存在する道は、特定行政庁の指定がない限り、法上の道路とはならない。

4 建築物の前面道路の幅員により制限される容積率について、前面道路が2つ以上ある場合には、これらの前面道路の幅員の最小の数値(12m未満の場合に限る。)を用いて算定する。




解説

選択肢4は、誤りです。
敷地が2つ以上の道路に面している場合には、最も広い道路の幅で基準容積率の計算をすることになります。というのは、広い道路の方へ人が流れていき、混雑が緩和されるからです。
同じような問題が、平成17年問題22でも出題されています。


(3)敷地が地域の内外にわたる場合


敷地が規制の異なる複数の地域にまたがる場合の容積率については、建ぺい率と同じ扱いになっています。

当該建築物の容積率は、各地域の建築物の容積率の限度に、その敷地の当該地域にある各部分の面積の敷地面積に占める割合を乗じて得た数値の合計以下でなければならないことになっています(建築基準法第53条第7項)。

規制の異なる複数の地域にまたがる場合の容積率の計算例

*建築物としては、防火地域内にあり、耐火建築物を建築する予定である。

まず、それぞれの地域の容積率を確定していきます。

本件においては、敷地が2以上の道路に面する場合で、各道路幅が、6mと8mというようにそれぞれの幅が違います。
このような場合には、幅の広い方の8mを、道路幅として採用することになります。
そうすると、前面道路の幅は、12m未満のため、前面道路による数値(基準容積率)と、都市計画で定められた指定容積率を比較して、小さい方の数字を採用します。

①第2種住居地域

指定容積率 40/10=400%

基準容積率 8m*4/10(40%)=32/10(320%)

指定容積率よりも基準容積率の方が小さいので、基準容積率の320%を採用します。

②近隣商業地域

指定容積率 50/10=500%

基準容積率 8m*6/10(60%)=48/10(480%)

指定容積率よりも基準容積率の方が小さいので、基準容積率の480%を採用します。

次に、加重平均(かじゅうへいきん)を出します。

①第2種住居地域

容積率48/10(480%)

その敷地の当該地域にある各部分の面積の敷地面積に占める割合
=第2種住居地域に属する部分の面積/敷地全体の面積
=80/200

48/10*80/200=(48*80)/(10*200)=3840/2000

②近隣商業地域

容積率48/10(480%)

その敷地の当該地域にある各部分の面積の敷地面積に占める割合
=近隣商業地域に属する部分の面積/敷地全体の面積
=120/200

48/10*120/200=(48*120)/(10*200)=5760/2000

③それぞれの数値の合計(敷地全体の容積率)

2560/2000+5760/2000=256/200+576/200=832/200=敷地全体の容積率416/100(416%)


平成3年問題23

建築物の容積率及び建蔽率に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 第一種中高層住居地域内で、かつ、防火地域内にある耐火建築物についても、建蔽率の制限は、適用される。

2 建築物の敷地が近隣商業地域と商業地域にわたる場合においては、容積率は、商業地域の容積率による。

3 第一種低層住居専用地域内の建築物については、建蔽率は、2/10以下としなければならない。

4 工業地域又は工業専用地域内にある建築物であれば、容積率は、前面道路の幅員による制限を受けない。



解説

選択肢2は、誤りです。
敷地が容積率の異なる地域にまたがる場合、その敷地の容積率の限度は、それぞれの地域に属する敷地の割合に応じて按分計算により算出された数値となります(建築基準法第52条第7項)。どちらか一方の容積率になるのではないので、✖。
同じような問題が多数出題されています。


平成10年問題22

下図のような敷地A(第一種住居地域内)及び敷地B(準工業地域内)に住居の用に供する建築物を建築する場合における当該建築物の容積率(延べ面積の敷地面積に対する割合)及び建ぺい率(建築面積の敷地面積に対する割合)に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、正しいものはどれか。
ただし、他の地域地区等の指定、特定道路及び特定行政庁の許可は考慮しないものとする。
また、特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内でもない。

敷地A
 都市計画において定められた容積率の最高限度 ⇒ 20/10
 都市計画において定められた建ぺい率の最高限度 ⇒ 6/10

敷地B
 都市計画において定められた容積率の最高限度 ⇒ 40/10
 都市計画において定められた建ぺい率の最高限度 ⇒ 6/10


1 敷地Aのみを敷地として建築物を建築する場合、容積率の最高限度は200パーセント、建ぺい率の最高限度は60パーセントとなる。

2 敷地Bのみを敷地として建築物を建築する場合、敷地Bが街区の角にある敷地として特定行政庁の指定を受けているとき、建ぺい率の最高限度は20パーセント増加して80パーセントとなる。

3 敷地Aと敷地Bをあわせて一の敷地として建築物を建築する場合、容積率の最高限度は264パーセントとなる。

4 敷地Aと敷地Bをあわせて一の敷地として建築物を建築する場合、建ぺい率の最高限度は74パーセントとなる。



解説

選択肢1は、誤りです。
Aのみを敷地とした場合、敷地Aは12m未満の狭い道路になるので、前面道路の幅が、12m未満の狭い場合に該当します。このような場合には、都市計画で定められている指定容積率と、道路幅(m)に一定の数値(乗数)をかけた数字(基準容積率)とを比較し、より厳しい(小さい)ものが、その敷地の容積率となります。

敷地Aは、第一種住居地域であることから、乗数は、40%になります。
基準容積率 4m*40%=160%
指定容積率 200%
よって、容積率の最高限度は、より小さい方の基準容積率160%となります。

また、建ぺい率の最高限度については、60%となり、選択肢の内容は正しいです。建ぺい率に関しては、前面道路の幅員による制限はありません。

選択肢3は、正しいです。
敷地が規制の異なる複数の地域にまたがる場合の容積率については、建ぺい率と同じ扱いになっています。
当該建築物の容積率は、各地域の建築物の容積率の限度に、その敷地の当該地域にある各部分の面積の敷地面積に占める割合を乗じて得た数値の合計以下でなければならないことになっています(建築基準法第53条第7項)。

そこで、まずは、敷地Aの容積率を求めます。

敷地Aと敷地Bをあわせて一の敷地として建築物を建築する場合、敷地Aは、幅員6mの道路に接するものと扱います。
そして、敷地が2つ以上の道路に面していることになるので、最も広い道路の幅、つまり6mで計算することになります。
この場合、12m未満の狭い道路になるので、前面道路の幅が、12m未満の狭い場合に該当します。このような場合には、都市計画で定められている指定容積率と、道路幅(m)に一定の数値(乗数)をかけた数字(基準容積率)とを比較し、より厳しい(小さい)ものが、その敷地の容積率となります。

敷地Aは、第一種住居地域であることから、乗数は、40%になります。
基準容積率 6m*40%=240%
指定容積率 200%
よって、容積率の最高限度は、より小さい方の指定容積率20/10(200%)となります。

次に、敷地Bの容積率を求めます。

敷地Bは、準工業地域であることから、乗数は、60%になります。
基準容積率 6m*60%=360%
指定容積率 400%
よって、容積率の最高限度は、より小さい方の基準容積率36/10(360%)となります。

次に、加重平均を出します。

①第一種住居地域

容積率20/10(200%)

その敷地の当該地域にある各部分の面積の敷地面積に占める割合
=第一種住居地域に属する部分の面積/敷地全体の面積
=180/300

20/10*180/300

②準工業地域

容積率36/10(360%)

その敷地の当該地域にある各部分の面積の敷地面積に占める割合
=近隣商業地域に属する部分の面積/敷地全体の面積
=120/300

36/10*120/300

③それぞれの数値の合計(敷地全体の容積率)

(20/10*180/300)+(36/10*120/300)=(3600/3000)+(4320/3000)=36/30+432/300=360/300+432/300=792/300=264/100(264%)


3.容積率の緩和措置


一定の条件を満たす場合に容積率を緩和する特例があります。

土地の面積が小さいところは、以下のような容積率緩和の特例を利用することで、より広くなるような形で大きな建築物を建てることができます。


(1)地階で延べ面積に算入されないもの(建築基準法第53条第3項)


容積率の算定の基礎となる延べ面積には、建築物の地階で、その天井が地盤面からの高さ1メートル以下にあるものの住宅又は老人ホーム、福祉ホーム等の用途に供する部分の床面積は、算入されません。

ただし、一定の制限があります。
その地階の部分の床面積が、当該建築物の住宅及び老人ホーム等の用途に供する部分の床面積の合計の3分の1を超える場合においては、延べ面積に含めなくてよいのは、当該建築物の住宅及び老人ホーム等の用途に供する部分の床面積の合計の3分の1までになります。

要するに、地階がある場合、住宅及び老人ホーム等として使用する部分の床面積の3分の1を限度として容積率の計算から除外されるということです。

具体例

土地が100㎡で容積率80%の場合は、建てられる建物は、80㎡ということになります。これが原則でした。
しかし、地下室がある場合は、住宅及び老人ホーム等として使用する部分の床面積の1/3を限度として容積率の計算から除外されます。
そうすると、住宅及び老人ホーム等として使用する部分の床面積である120㎡の1/3を限度として容積率の計算から除外されるので、結果として、最大120㎡まで建てられます。

計算式 容積率80㎡*3/2=120㎡

最大に建てられる建物の大きさ×2/3=通常建てられる建物の大きさ
→ 120㎡*2/3=80㎡



(2)エレベーターの昇降路部分等で延べ面積に算入されないもの(建築基準法第52条第6項)


建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積には、次に掲げる建築物の部分の床面積は、算入しないものとする。
一 政令で定める昇降機(エレベーター)の昇降路の部分
二 共同住宅又は老人ホーム等の共用の廊下又は階段の用に供する部分(エレベーターホール、エントランスホール等も含む)
三 住宅又は老人ホーム等に設ける機械室その他これに類する建築物の部分(給湯設備その他の国土交通省令で定める建築設備を設置するためのものであつて、市街地の環境を害するおそれがないものとして国土交通省令で定める基準に適合するものに限る。)で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるもの

こちらの緩和措置においては、「延べ面積の1/3を限度として」との部分はありません。「すべて」が算入されます。
というのは、廊下、エレベーター、エレベーターホール、エントランスホールの面積をいくら広くしても、居室を増やさない限り、住人の数は増えません。ですから、人口密度の増加を防ぐという容積率の規制をする必要がないからです。
「延べ面積の1/3を限度として」との部分があるのは、地階の扱いの場合になります。
勘違いしがちな部分になりますので、しっかり押さえておく必要があります。

この緩和措置により、例えば、マンションなどの専有部分(人が住む部分)の床面積を広くとることが可能となります。


(3)宅配ボックス設置部分に関する緩和措置(建築基準法施行令第2条第4号)

宅配ボックス(配達された物品(荷受人が不在その他の事由により受け取ることができないものに限る。)の一時保管のための荷受箱をいう。)を設ける部分の床面積は、延べ面積(建築物の各階の床面積の合計)には算入されません。


(4)その他の緩和措置(建築基準法第52条第14項)

次の各号のいずれかに該当する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものの容積率は、緩和措置として、その許可の範囲内において、容積率を緩和できます。

一 同一敷地内の建築物の機械室その他これに類する部分の床面積の合計の建築物の延べ面積に対する割合が著しく大きい場合におけるその敷地内の建築物
二 その敷地の周囲に広い公園、広場、道路その他の空地を有する建築物
三 建築物のエネルギー消費性能の向上のため必要な外壁に関する工事その他の屋外に面する建築物の部分に関する工事を行う建築物で構造上やむを得ないものとして国土交通省令で定めるもの


平成20年問題20

建蔽率及び容積率に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 建蔽率の限度が80%とされている防火地域内にある耐火建築物については、建蔽率による制限は適用されない。

2 建築物の敷地が、幅員15m以上の道路(以下「特定道路」という。)に接続する幅員6m以上12m未満の前面道路のうち、当該特定道路からの延長が70m以内の部分において接する場合における当該敷地の容積率の限度の算定に当たっては、当該敷地の前面道路の幅員は、当該延長及び前面道路の幅員を基に一定の計算により算定した数値だけ広いものとみなす。

3 容積率を算定する上では、共同住宅の共用の廊下及び階段部分は、当該共同住宅の延べ面積の3分の1を限度として、当該共同住宅の延べ面積に算入しない。

4 隣地境界線から後退して壁面線の指定がある場合において、当該壁面線を越えない建築物で、特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものの建蔽率は、当該許可の範囲内において建蔽率による制限が緩和される。



解説

選択肢3は、誤りです。
共同住宅の共用の廊下や階段部分の床面積は、その全てを延べ面積に算入しません(建築基準法第52条第6項)。「延べ面積の1/3を限度として」との部分があるのは、地階面積の扱いの場合になります。この緩和措置とのひっかけ問題でした。


平成11年問題21

建築物の容積率に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 容積率の算定に当たり、建築物の延べ面積の1/3を限度として、地下室の床面積を建築物の延べ面積に算入しないとする特例は、住宅以外の用途に供する部分を有する建築物には適用されない。

2 容積率の算定に当たっては、共同住宅の共用の廊下又は階段の用に供する部分の床面積は、その建築物の延べ面積には算入しない。

3 高度地区内においては、容積率は、高度地区に関する都市計画で定められた内容に適合しなければならない。

4 商業地域内で、かつ、防火地域内にある耐火建築物については、容積率制限は適用されない。



解説

選択肢1は、誤りです。
住宅、老人ホーム又は福祉ホームなどの用途に供する部分の床面積は、建築物の延べ床面積の合計の1/3を限度として、延べ面積に算入しないことになっています(建築基準法第52条第3項)。
この特例は、住宅以外に老人ホーム、福祉ホームなどにも適用されます。「住宅以外の用途に供する部分を有する建築物には適用されない」という部分は、✖。

選択肢2は、正しいです。

選択肢4は、誤りです。
これは、建ぺい率とのひっかけ問題です。
商業地域内で、かつ、防火地域内にある耐火建築物について制限が適用されないのは、建ぺい率です。容積率ではありません。
商業地域においては、建ぺい率が8/10と定められています(建築基準法第53条第1項第4号)。そして、建ぺい率の限度が8/10とされている地域内で、かつ、防火地域内にある耐火建築物は、建ぺい率による制限を受けません(建築基準法第53条第6項第1号)。


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