住友不動産マンション、その知られざる「完売の法則」


新築マンション業界の揺るぎなきトップは住友不動産です。
市場への新築マンションの供給戸数は6年連続で全国第一位。
いやはや、とてもご立派。
それについては文句のつけようがございません。

しかし、この住友不動産という企業が一般消費者を
どれほど重視しているのかは、やや疑問。
少なくとも「いいものを安く供給したい」といった
消費者の利益を重視しているようなスタンスは
まったくと言っていいほど感じられません。

私は30年以上も首都圏の新築マンション市場を
いろいろな角度から眺めてまいりました。
最初の20数年は広告制作のクリエイターとして。
直近の10数年は住宅ジャーナリストして。

前述のとおり、住友不動産が業界のトップに立ったのは
2014年だったと記憶しております。
アベノミクスが始まって、異次元金融緩和が
局地バブルを膨らませようとし始めた頃です。

その頃まで、住友不動産はリーマンショック以前に
計画したマンションの在庫処理に苦しんでいた
ご様子が見受けられました。
そもそも、住友不動産は私が見る限りにおいて、
リーマンショック以前の「ファンドバブル」時代から
「高値挑戦」を続けてきたデベロッパーです。

周辺の市場相場よりも高く売り出して、
完成在庫となることをまったく厭わない会社。
そして、ほとんど値引きをしない販売手法を取り続けました。
市場から多少高かろうと、その価格のまま販売し続けるのです。

まかり間違って建物の完成までに全戸が完売でも
しようものなら事業担当者が上司から
「なぜ、そんな安い価格にしたのだ」と叱責される、
といった噂が業界中に広まっておりました。

だから完成在庫になっても全然平気。むしろその方がGOOD!
建物が竣工してから2年くらいまでに完売できれば
「ちょうどいい」のではないかと見られていました。
ところが、リーマンショックによって竣工後3年以上も
売れ残っている物件が続出していたのが2013年頃の状況。
それが次々と完売したのはアベノミクスと
異次元金融緩和のお陰ではないでしょうかね。

そして、2014年以降は今の局地バブルとなりました。
高値で売れ残っていたマンションも、
市場が追い付いてきたので高値ではなくなったのです。
それで見る見るうちに完売する物件が続出。

在庫を一掃した住友不動産のマンション事業が、
傍から見ていてもかなり強気な事業展開を始めます。
それでたちまち供給量で全国一位の座を獲得。
それが今に至るまで6年間も続いています。
今後もその勢いが衰えるとも思えませんね。

そして、相も変わらず高値挑戦は続けてきました。
それでも一定数、そんな住友マンションを買う人がいます。
だから住友不動産のマンション部門は増収増益の連続。
ここのところは絶好調と言っていい状態でした。

しかし、供給量が日本一になったことによって、
おそらく完成在庫数でもダントツの日本一になったはず。
そして、ここ3年ほど前から住友不動産の
営業方針には、それまでにはないやや大きな
変化がみられるようになりました。
以下にご説明しましょう。

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