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「自主研のススメ」48.進化ワーク

以前参加していた『進化思考』を学ぶ「進化の学校」
その卒業生同志のコミュニティの一つで、4ヶ月ほどかけて進化思考のワークを実践しながら「年金」の進化に向けて取り組みましたので、今回はその体験談をご紹介します。なお、このコミュニティの中で自治体職員は僕だけなので、自治体職員による”自主研”とは言えませんが、仲間と一緒に学びあう有志活動として、こちらで紹介します。

何故、年金なのか?

まず、進化(ワーク)の対象を「年金」にした理由ですが、参加メンバーの一人が、自身の年金について不安を感じたことによります。
それに対して、以前からわたしが危惧し続けていることとして、団塊ジュニア世代(特に1972~1974年生まれ)がいなくなると年代別人口が継続して減少しはじめる=支えるのが楽になる。ということで、団塊ジュニア世代が一番ヤバイ話を伝えました。

出典「国立社会保障・人口問題研究所HP」 団塊ジュニア以降急激に人口減少

ワーク前半:変異のワーク

進化思考では、創造性は変異と選択の往復によって進化するとされており、その変異のワークでは「偶発的アイデアを大量に生み出す、変化のための発想手法」を練習します。
ということで、まずは変異のワークを一通り行いました。
具体的には、
超~な年金(例:超受け取りにくい、超高額な)
~型年金(例:宝くじ型年金、農業型年金)
~のない年金(例:受給期間のない年金、キャッシュレス年金)
~+年金(例:労働+年金、年金+事務)etc.
僕は変異のワークが比較的苦手なのですが、複数人でやったことで独りでは発想できない視点が得られることができました。

変異のワーク例(変量)byさかかつ

ワーク後半:選択のワーク

変異によって大量に生み出されたアイデアは、進化に向けて選択がなされ適応していきます。選択のワークはいくつもあるのですが、大きく分類すると以下の4つになります。

1.時空観マップ:全体イメージ

SAWAさんによる時空観マップ。この時点ではまだ大きな進化の兆しなし。

2.解剖的観察

大きく次の3つのワークにより、内側の構造と意味を整理しました。
・形態観察
(要素の細部を見る。例:国民年金・厚生年金・共済年金等/老齢年金・障害年金・遺族年金等)
・生理観察(要素の意味を知る。例:年金の目的・仕組み(財政方式や給付調整)、課題(少子高齢化や加入期間見直し))
・発生観察(出来上がる過程。例:労働者年金保険制度の創設後、国民皆年金が整備)

HIROさんによる解剖的観察。年金理解が深まり始める。

3.歴史的観察

続いて、今この時点までどのようなプロセスを経てきたか、過去の系譜を引き受けるワークを行いました。
・分類観察
(種類を決め分ける。例:制度創設期~高度経済成長期~安定成長期~高齢化社会・・)
・比較観察(細部まで比較する。例:諸外国との比較※興味深いのが、GDPに対する社会保障費の割合は高いが、高齢化率を踏まえると必ずしも高くないというデータあり)
・系統観察(進化の流れを知る。例:武士の恩給、公家の恩給、農民の恩給、それらから現代は国民年金、全員年金、個人年金等へ)

SAWAさんによる年金史。年金理解が促進する。

4.生態的観察

生態はワークが21つもあり(途中「まだまだ続く」とコメントされ、正直うんざりするほど・・)全体を紹介することはできませんが、いまこうして改めて生態に関するワークを振り返ってみると、ここで何やら新しい発想が生まれていることに気づかされます。

そう!変異でバカになり、その後の解剖、歴史で仕組みの理解が増した状況で、この生態に取り組むことに意義があるんだ!を見いだした感じです。
注)年金ワークの報告を進化思考の著者である太刀川さんにも聞いてもらったところ、ワークの順番はそれほど重要ではないとのことではありましたが、一方で生態は非常に重要だと仰っていただけました。

「恩→返す」「ためた信用、できる貢献→見える化」(TAKEさん)
ベーシックインカムは度々出てきたキーワード(さかかつ)
団塊ジュニアvs若者世代/他者への貢献・能力発揮・体動かす(HIROさん) 
食料自給に関する話が出始めた(HIROさん)
「鍵はデジタルリテラシー?」(SAWAさん)の発表は衝撃でした

変化した価値基準

ワークを進めていくなかで、途中から意識の変化が現れました。

”もらうことに対する心配” から、”生きていく上での幸せは何か?”

貨幣価値では測れない価値基準に重きが持たれはじめました。
ここで出てきたキーワードは、

どうすれば持続可能性を担保できるか? 
・自給自足
・他者への貢献

詳細まで伝えるのは控えますが、最後のワークでHIROさんから事業化できそうなアイデア(何かを手伝ってもらったときにお金ではないもので恩返しする仕組みの全体設計に成功)が生み出されたことに驚きました。
※冒頭の画像は、HIROさんが”ビジネスモデル図解”を用いて作成されたものの一部です。

さらに、TAKEさんから出たアイデアは、これぞ進化思考と思わせる突拍子もないものでした!!(人が幸せ・健康になる仕組みを構築し、公共の負担を減らそうというもの ※年金の話ではない側面からのアプローチ)

世代間の人口格差が大きい日本では、冒頭でも触れたように特に団塊ジュニア世代の年金が大問題になることは間違いないわけですが、ここで生まれたアイデアは年金が進むべき進化の一つの方向性を示すことができたと捉えています。

そう考えると、大きな課題に直面することがわかっているのであれば、それに対して抜本的な対応案を考えるにあたって、進化思考のワークは極めて有用なツールであると、改めて再認識できました。500頁を超える本で、ワーク数は54もあるけれども、本気で進化を検討するならやるだけの価値があると言い切れますよ。

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