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「自主研のススメ」29.ON/OFFの越境

自主研は、勤務時間外に行う課外活動というのが基本です。そのため、勤務時間終了後や土日に行うのが一般的で、就業前の朝活やランチタイムを活用しながら行うところも一部あるといった感じです。

東北まちづくりオフサイトミーティングが立ち上がった2010年頃から全国で広がった自主研ブームは、その期間が10年を超えました。それにより参加者も10歳を年をとったわけですが、その間、ONでもOFFでも経験を積み重ね、人脈も広げ、組織内でのポジションも変化しました。
その過程を経て、この自主研ブームの波にのっている僕たち世代は、円熟期を迎えたのです。

そんな僕たちが、僕たちだからこそできることって何でしょう?
10年の経験値を積んだ自主研が生み出す価値って何でしょうか?
僕が考える、これらの一つの解について、今回はご紹介します。

業務としての「自主研チャレンジ」

関東自主研サミットを一緒に立ち上げた茨城県庁の助川達也さんは、人事異動で自治研修所勤務となりました。これまでの経験から自主研の価値を高く評価している助川さんは、 自主研のような”職員の学び合いの風土”を作っていくことを狙いとした企画「自主研チャレンジ」を開催しました。

これは業務(ON)として行われたもので、これに関して助川さんは「志事と仕事が一致できた仕合せを感じる」と述べてました。ON・OFFのラインを越境することで、企画した助川さん本人自身が大きなやりがいを感じることができたことがうかがえます。このような越境業務を実行できたのは、自主研等の長いキャリアと、組織を動かせるだけの実績が蓄えられたのと、そうした要因が重なりあったからこそ実現できたのではないかと捉えています。

「茨城自主研サミット」の開催へ

業務として行われた自主研チャレンジは、その後も第2回、第3回と開かれました。茨城県内自治体にもその門戸が開かれていたため、県下市町村の職員の参加もありました。

ONの会終了後、有志によるアフター(OFF)では、立ち上げ期や若手を中心とした市町村の自主研における事例発表や相互交流もしたいとの話で盛り上がり、その勢いで「茨城自主研サミット」の開催が決定されたとのことでした。その後、企画検討が進み、県内で自主研活動をしている方々が集う場が生まれました。ご縁あって、僕も参加しましたが、互いに刺激し合うネットワークが生まれていて、ちょっと茨城県に嫉妬しちゃうほどに充実した会でした。

なお、茨城自主研サミットの例を振り返って整理してみると、ON→OFF→ONの越境が繰り返されています。こうして行き来することで、徐々にその境目がなくなってきているようです。

全国職員研修研究会

助川さんが仕掛けたもう一つの実践事例を紹介します。
業務で職員研修を担当している職員がつながり、情報交換を行う場をOFFの場で立ち上げました。その名は「全国職員研修研究会」

この研究会では、来たる10月25日(月)の午後、早稲田大学マニフェスト研究所との共催で、地方自治体や公共団体の人事・総務・行政改革部署等の職員を対象とした研修研究会を開催することになりました。もうお気づきだとは思いますが、平日の午後開催ということで、ここでもOFFから生まれたネットワークがONの世界に越境しています。

この例でいうと、これまでの実績に加えて、ネットワーク(人脈)も企画化の大きな要因になっているように感じます。広いネットワークを有していると、その価値を理解しているのはもちろんですが、さらにその人脈を活かすことで一人では生み出すことができない新しい価値も創出することができます。この全国職員研修研究会は、まさにその好事例といえるでしょう。

本の紹介

ON/OFFの越境体験を実践されている助川さんは、この4月に『公務員のための場づくりのすすめ』を出版されました。今回のON/OFFの越境の話に限らず、様々な”場”について的確に、かつわかりやすく分析されているので、場づくりを考えている方にとってはバイブルになること間違いない一冊となっていますので、こちらでご紹介します。

最後に。
今回はON/OFFの越境について書きましたが、僕個人の考えとしては、これは活動初めて直ぐに目指すにはハードルが高いと捉えています。冒頭に書いたように、円熟期を迎えた僕らだからこそ実現可能性が高まっていることは間違いないと思います。
そのため、同世代の同志は積極的にON/OFFの越境を仕掛けていくと良いでしょうし、逆にそこまでのキャリアをまだ積めていないのであれば、いつかやってるぜ!くらいに捉えておいてもらいたいネタとしての紹介となっています。

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最後の最後に・・トップの写真ですが、10月20日(水)21時から、紹介した助川さんの本にインタビューで登場しているメンバーが揃って語り合うオンラインイベントがあります。ご興味ある方いらっしゃいましたら、こちらにもご参加いただけたら嬉しいです^^


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