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「自主研のススメ」24.進化思考②

前回に引き続き、今回もNOSIGNER代表太刀川英輔さんが提唱する『進化思考』に基づいて、僕なりに考える「自主研の進化」について、ご紹介します。

進化思考に興味がないという方も、少し下に貼り付けてある「系統」の写真だけでもご覧になって欲しいです。自主研の系統を見える化してみると、先人たちがどのような想いをもって活動をし、今現在に辿り着いたのか、考えるよい機会になるかなと思うので。

系統

前回のnoteでも記しましたが、進化思考では、創造性は「変異の思考」「適応の思考」の2つのプロセスの往復から発生すると考えられていて、適応はさらに、解剖、系統、生態、予測と、大きく4つに分類されています。今日は、そのうちの一つ「系統」に関する僕のワークを紹介します。

まずその前に、系統について補足します。「過去からの流れを理解する」とあります。

これによって、過去から現在までxがどのように進化をとげてきたが、さらには、そこに関連している人はどのような想いを持ってかかわってきたか、などを見える化する作業となっています。(引用)

今ある姿というのは、過去からの時間の流れを経て、今の形となっているということです。僕が興味深く感じたのは、太刀川さんがそこに関連する人の「想い」にフォーカスしているところです。

過去に遡って進化の分岐を見渡したとき、なぜこのような道が選択されたかというと、外部環境等も適応に必要な条件となるでしょうが、そこに関わっている人の想いに心寄せることで、今につながる進化の流れを読み解くことができるようです。

そうしたところを意識しながら、僕が作成している系統の図がこちらです。(小さくて見えづらいところは画面を拡大してご覧ください)

スライド1

こうして描くことで得た大きな気づきがあります。それは、「自主研的活動の発生起因は、複数ある」ということ。
では、これらの発生起因別の特徴について、記していきます。

1)人材育成系

最も広く一般的に行われている自主研の王道の分類と捉えていますが、これらは遡っていくと、さらに3つに分けて整理しました。

 ① ONの学び(職員研修(特にOff-JT))
 ② ONの情報共有(例:業務別で県内他自治体との連絡協議会)
 ③ OFFの学び(自己啓発)

このうち、ONと OFFの中間くらいにある”職員組合”の活動から生まれた自治研活動が、戦後日本の自治体における自主研の端緒となっているようです。

これら①~③に共通する点は、自治体運営上必要とされる職員の人材育成の枠組みの中に位置づけられるということです。その枠組みではあるけれど、個人としての学びたいという欲求と、それを奨励・支援する組織との関係性が活動に大きな影響を与えるように感じています。

2)地域課題解決系

地域のお祭りを盛り上げる系の活動や、空き家を借り上げて運営する活動(塩尻市のnanodaは全国的にも有名)をこの分類としています。
ちなみに、僕の中で「空き家を借り上げて街を盛り上げよう!」といった活動は、「自治体職員だから」生まれたものかどうかということが疑問となっていました。というのも、地元に危機感をもち活躍される方というのは身分にかかわらずいるので、自治体職員でないと生まれない活動かどうかというのが、今一つ見えなかったのです。
この点について、たまたまnanodaの山田崇さんに直接話を伺う機会があったので聞いてみたところ、詳細は割愛しますが、結果としては市役所職員だからこそ生まれた活動だということがわかりました。自治体職員による、街をよりよくするための活動。これらは、上手く運営することができれば、参加者が学び経験するだけでなく、街に良いインパクトを与えることができるようになるので、とても有意義な自治体職員による自主(研)的な活動といえます。

なお、チケット買って複数の店を飲み歩く「ちょい飲み」や「街コン」などは自治体職員に関係なく行われているので、この辺りの違い、差別化はもう少し深掘りする必要あるようです。

3)個人としての学び系

職務からの使命感や知的好奇心から大学院やビジネススクールなどで学ぶ自治体職員も(稀ですが)います。また、そこまでいかずとも、特定の資格取得や個人的研究活動を実践される人は、それなりにいます。

こうした学びですが、個人でスタートしてもその後グループとなって学ぶ場に発展することがあります。特に、研究活動系などで意気投合した場合などはグループ化しやすい傾向にあり、これらも自主研活動にといえます。

4)つながりたい系

つながることは手段であって目的化するのはどうなんだろう?
という疑問を持つ方は僕自身を含めて結構な数でいますが、純粋に誰かと繋がりたいという欲求が強い方もいるのは確かです。そして、ネットワークができたことで、その後何かしら共同して作り上げる動きに発展するようなこともあるわけで、だからこそ異業種交流会などの場があり続けるのでしょう。

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このように、起点がバラバラだからこそ、活動内容も、目指すところも多種多様なんだろうなと、改めて再認識することができました。
その一方で、時の流れの中で線が交わるところも見つけることができました。
そのように交叉する周辺にある「人の想い」に心寄せることが、自主研の進化を考える上で、とても大事なところになるような予感があります。

これからの進化ワーク

これまでの変異と適応のワークを経て、これから未来を想像・創造する「予測」の適応が待っています。いよいよ、進化思考ワークも佳境を迎えます。

進化の学校も残すところあと1ヶ月。卒業する9月末には、僕からの視点として考える自主研の進化についてまとめあげる予定ですので、完成できた暁には再度報告いたします。

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