「自主研のススメ」17.暗黙知の継承
自主研での学びは千差万別ですが、どの自治体でも実践することをオススメできる鉄板ネタがいくつかあります。その中の一つ、『暗黙知の継承』についてご紹介します。
退職部長がスピーカー
まずは、次の写真をご覧ください。
このチラシを見たときの衝撃は忘れられません。めちゃくちゃカッコイイなって。定年退職を迎える部長さん方にスピーカーをお願いするのに加えて、こんなポージングまでしてもらうだなんて。
でも、こんなイケてるチラシは、この年だけ特別でしょう~と思っていたら、その翌年のチラシはこちら。
もう、完全に脱帽です。例え、一番左の部長さんがあっちに視線送っていたとしても。
これらは、日本の中心に位置する岐阜県関市の自主研「ブラッシュアップ研究会」の企画チラシです。(中村さん、写真掲載の許可をいただきまして、ありがとうございました!)
さて、チラシのクオリティに目が行ってしまいましたが、話を本題に戻します。何故、このような企画を開催するのか?
それは、またブラッシュアップ研究会に頼りましょう。
「先輩から後輩へ語り継がれる物語」
なんて素敵なフレーズでしょう。
職員としての大先輩にあたる退職される部長さん。当然ながら、部長というポジションに就いているからには、そこに行き着くまでに認められる功績があります。そして、そのポジションだからこそ見える視点があります。そんな退職部長さんだからこそ発することができる、次の世代に語り継いでいくべき「何か」があるはずです。
また、僕が知る限りですが、こうした退職者からの暗黙知を継承する活動に力を入れてきたグループの一つが、熊本県庁の「くまもとSMILEネット」です。それに関して、Simulation2030で有名な和田大志さんの特別寄稿がネットにあがっているので、参考までに紹介します。
くまもとSMILEネットは、次のことを特徴として実践されていたとのことです。
・複数の退職される先輩方を同時にお呼びする
・単なる講演形式ではなく、「ワールドカフェ形式」
・ムービーによる「見える化」と「共有」
途中、疑問が芽生え、災害もあって活動が停滞したこともあったようですが、活動の目的がハッキリしていて、かつその目的達成のために必要と考えるプロセスをしっかりとおさえられて活動なされていたことが報告書から伝わってきます。特に、ムービー作って庁内で共有するあたりは、和田さんが述べられている「仕組み化」につながる重要な取り組みといえます。
実際にやってみての感想
僕も一度だけですが、この企画を実践したことがあります。といっても、自主研メンバーだけで話を聴く都合から、尊敬する退職部長お一人にスピーカーをお願いして実現したものです。
実際、やってみての感想ですが、これは自主研修のテーマとして、鉄板だと強く感じました。それというのも、話を聴いていて僕自身が感じたことは、これまでその方が歩んで来られた実績をある程度僕自身が把握できているため、話される出来事の背景が理解でき、その分だけ心に深く刺さりやすかったです。
また、例えその背景を知らない若手であったとしても、これまで前線でやってきた大先輩だからこそ見える視点を垣間見る機会となるし、職員として大事にして欲しい想いが引き継がれていくキッカケにもなります。
よく行われている退職祝いの場においても同じような継承が生まれることあるでしょうが、意識されていないと単なる飲み会要素が強まってしまうし、僕自身お酒飲むと記憶力が一気に低下するので、マジメな話は素面でやりたいし、その方が効果的です。
ちなみに、僕が語り継がれて心に一番刺さったのは、どんな仕事でもそこで楽しみを探すこと、そして楽しむということ。大変な仕事だからこそ、自分の興味関心や会ってみたい人の話をつなぎ合わせて企画作りをした事例を聞いて、目から鱗が落ちていきました。そんな感じで、楽しみも生み出しながら仕事ができる環境を作っていけば、必然的に職場の雰囲気も良くなるし、結果住民へのサービスも高まっていくでしょう。
ということで、これこそ自主研修企画として鉄板ネタですよ!と最初に述べたことが理解していただけたでしょうか? ちょっと自分のところでもやってみようかな♪って思っていただけのならば、最初から一気に何人もの退職者に依頼するのは難しくとも、まずは身近で尊敬する退職者の方にスピーカーをお願いします!とお願いしてみませんか。
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