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【第七話】黒髪(地歌)で藤娘(長唄)の足固めをする|しがない勤め人、国立文楽劇場で藤娘を舞う

地歌?長唄?何が違うの?

2020年、藤娘の舞台出演が延期になってしまった私。
空白の1年は、なにをするのだろうか・・・?

4月、オンライン稽古の初日におっしょはんはおっしゃった。

「せっかく時間できたし、地歌をじっくりお稽古しましょう」

「藤娘、長唄やからわーっと勢いでなんとかならんこともないけど、地歌で基礎固めてきっちり舞ったら、もっとええもんになりますからね」

ということで、オンライン稽古のお題は・・・

黒髪(くろかみ)

おっしょはんは「く↑ろ↓か→み→」と発音する。標準語だと「く→ろ→か→み→」かな。

黒髪かー。The・地歌。地歌of地歌。

藤娘は長唄。
違いは何だ?

えーと、私見ですが、編成の違いかな?

【長唄】三味線複数本、唄うたい複数人。大鼓(カンッってやつ)、小鼓(ポンってやつ)、笛、太鼓。
他にも見えないところでゴーン、とかチーンとか鳴る。
【地歌】三味線弾き歌い1名、以上。
琴、胡弓が各1名つくこともある。

西洋音楽に例えたら、
【長唄】オーケストラ、合唱団つき。
大所帯だから会場は舞台、劇場。
【地歌】ギター1本の弾き語り。ついてもピアノ伴奏、室内楽のトリオくらい。
会場はサロン。

ということは、
【長唄】音量の抑揚が大きくつけられるから派手、華やか。
【地歌】音量控えめで抑揚のレンジが小さいのでじんわり、しみじみ。

では振りつけは、
【長唄】舞台映えのする大きな動きの踊り。行ったり来たり、跳んだりはねたり。
【地歌】サロンすなわちお座敷で、ほこりをたてないように静かに舞う。ミニマムの美。

というわけで、2020年4月。
”長唄・藤娘”とは真反対の”地歌・黒髪”のお稽古がオンラインで始まりました。

(続く)

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