【なまずの天ぷら】川魚料理・林屋 たんぱくで上品な味わい
なまずは生臭そうだし泥臭そう。
もしそんなイメージを持っているなら、ぜひとも実食してほしい。
そして感動してほしい!
余計なお世話って気がすごくするけど、わたしは実際に食べて、そして考えを改めた!
群馬県、板倉町にある雷電神社のおひざもと。
〔川魚料理・林屋〕という古びた食堂では、その「なまずの天ぷら」を食べさせてくれるのだ。
雷電神社の鳥居のすぐ脇にある、田舎の風情ただようお店で、まったく気取る気配もないたたずまいに、期待が高まる。
結論から言うと、とても淡白な白身魚の天ぷらだった。
クセがまるでなく、さくっと噛むと、上品な香りが口の中を満たしてくれた。
定食にはいろんな小鉢がついてきていて、そのどれもが郷土料理らしいけれど、天ぷらは時間が命。
まっさきにかぶりつく。
なまずに限らず、普段は食べないような食材は、クセがなく品がよい味わいが案外と多い気がする。
へび、カエル、などなど。
あるいは、臭みを抜くために入念な下ごしらえをしているのかもしれないけど。
なまずに比べると、鯉は口にする機会が多めかもしれない。
とはいっても、日常生活で食べることはまずなくて、どこかの料理屋へ行かないとお目にかかれないのは、なまずと変わらないけ。
ただ、どこの地域にもあるし、それなりにメジャー級だとは思う。
鯉の洗い、つまりお刺身をゴマダレへつけてみる。
川の幸はどれも海の幸とはちがう風味だと思う。
上手くは言えないけれど、少なくとも海魚の刺身は、ゴマダレではピンとこない気がする。だけど鯉にはぴったりはまる。
おろしわさびと醤油でも食べるので、二度美味しい。
ついでなので、なまずの天ぷらの方も、このゴマダレやわさびで味わうのも悪くない。
淡白ゆえに、どの味もしっかり楽しめる。
◯
雷電神社と林屋のすぐ近くには、3つの県が出会う場所があるのだ。
いわゆる「3県またぎ」なのだ。
群馬、栃木、埼玉の境界線が交わっていて、
「わたし、今、3つの県に同時に存在している!」
なんだか特殊能力に目覚めた気分に浸れる。
なにしろ、3つの場所にわたしの身体が存在しているのだ。
「わたしは群馬県にいるのだ」
「今いるとこ? 栃木県だけど」
「やほー、埼玉県にいるよー」
どれを言っても、嘘にはならない。
なんという奇跡的な空間なのだ!
風景自体は、なんでもない田んぼの真ん中かもしれないけれど、ミラクルな空間というのは、さりげなく存在するのだ。
気持ちの問題ってだけかもしれないけど、わたしはわくわく感を存分に味わいながら、この「3県またぎ」を後にした。
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