【飯岡】打ち上げ花火(2)土屋食堂、飯岡灯台
夏。
わたしが、飯岡へ行きたくなる季節。
岩井俊二の〔打ち上げ花火、下から見るか、横から見るか〕に惹かれて、なんども訪れた町。
30年も前の作品だから、今さら行ってみたところで、もうなくなってる建物もあったりするんだけどね。
でも、今だに根強いファンも多い。
で……。
今年(2023年)の、家庭教師のトライ。
夏バージョンのCMが、
「ちょっ、これっ、完全に〔打ち上げ花火〕じゃん!」
わたしゃもう、ひっくり返った。
や、根強いファンって、あちこちに潜んでるんだね……。
一部にそっと……なんてレベルじゃなく、CM全編にわたってまるごと〔打ち上げ花火〕!
今後も岩井俊二の〔打ち上げ花火〕は、古典名作として語り継がれてゆくんだろうね。
◯
ところで、話はまったく変わるけれど、孤独のグルメ。
年末恒例の再放送で、ある時、飯岡が登場。
そりゃもう、テンション爆上がりだったよね。
何度も訪れているのに、
「こんな素敵なお店、知らんかった!」
それは〔土屋食堂〕という、サーファー御用達のお店だった。
最初にお断りしておくけれど、もう……このお店は存在しない。
コロナ禍の最中、そっと店じまいをしちまった……。
東日本大震災での大ダメージですら乗り切って、壊滅状態から復活した過去があるらしいのに……。
だから、もう二度と味わえない土屋食堂の味への、これは鎮魂歌だ。
〔打ち上げ花火〕のラストシーンとなるお祭り会場から、海岸沿いに西へすこし行った場所に、その土屋食堂は存在した。
新鮮な魚介類を食べさせてくれる他に、サーファー定食なるものがメニューとして掲げてある。
さぞかし、海の幸にあふれた定食かと思いきや……ま、孤独のグルメのおかげで、もうその正体は知ってたけどね。
生姜焼きとか目玉焼きとか、およそ魚にはまるで関係ない構成。
でも、そりゃそうかと納得もする。
サーフィンなんて、体力勝負なんだ、刺身や焼き魚より、がっつりタンパク質の塊を胃袋へ放り込んだ方が「よっしゃ、やるぞ!」という気分になるに決まってる。
サーフィン、やったことないから知らんけど。
なお、前回も述べた通り、千葉のこのあたりの豚肉は、決してあなどれないってことを、もう一度言い添えておく。
そんな体力つかいまくるような習慣などないわたしは、大喜びで魚介類の定食を頼む。
ここでわたしが絶対に食べたいのは、サンマのなめろうだ。
サンマの身を微塵にして、生姜などで味を整えた逸品。
そりゃもう、名産品なんだもん、美味しくないわけがない。
サザエの壺焼き、蛤の酒蒸し、そして刺身定食。
刺身定食は、だいたいがマグロやタコ、イカ、メカジキなどから2種類選べる。
なんてことのない、海辺の町になら必ず存在するような食堂かもしれないけど、こういう気取らない食堂は、それぞれの町でそれぞれの人たちが気軽にリピートし、愛されてきてると思う。
わたしの場合、ほぼ終わりの頃に、連続で2度ほど訪れただけで、それでも、
「ここ、来るたびに絶対に立ち寄りたい」
と思ったくらいの、気安くて魅力のある食堂だった。
常連さんやサーファーさんの嘆きは、どれほど深かっただろうか……。
それでも、飯岡でお昼ご飯を食べようと思うなら、わたしにはまだ残されたお店がある。
岬の突端に立つ飯岡灯台のすぐ脇、その名も〔ライトハウス〕。
そもそも土屋食堂を知る前は、ここでランチを食べてた。
打ち上げ花火ファンの人からの情報で、「ホットサンドが絶品だよ」と教えてもらってたので。
ソフトクリームも美味しい。
ここでは必ず食べた方がよい。
あるいは、灯台へのぼる道すがらにある〔海辺里(つべり)〕というお店も気になってる。 けど、高そうで、いつもちゅうちょしちまうけど……。 どうも、予約もした方がよさげらしいし。
なお、この海辺里のすぐ前の道路は、〔打ち上げ花火〕の冒頭シーンで、主人公の小学生・典道が友達と一緒に走ってた場所だ。
ええと……その先に学校は、ないんだけど……。
◯
来年、また飯岡の花火大会へ行きたい。
けど、困ったことに、他にも行きたい場所があって、日程がまるかぶり。
信州上田が大好きなのは、これまでしつこいくらいここで垂れ流してきたもんだけど、まさしく〔いいおかYOU・遊フェスティバル〕で花火が打ち上がるその日に、長野県の上田では〔上田わっしょい〕が開催されて、しかもコロナ禍以来数年ぶりに復活したらしいんだよね。
飯岡も上田も愛するわたしは、いったい、どっちを優先したらいいのか……。
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