大切なのは、実現すること。 ~ 菅政権発足後に実現した主な政策 その2 ~

もうすぐ1年を迎える菅政権がこの1年間で実現してきたことを振り返ります。

■ デジタル庁発足
デジタル化の推進が必要だとの認識はあったものの、具体的な手がなかなか打てずにいたところを、デジタル庁という役所をつくり、予算、権限を集めて地方自治体を含めた各役所のデジタル化を進めていくというものです。
例えば、現在空港でのCIQ(一連の入国手続き)についても、法務省(入管)、厚生労働省(検疫)、財務省(税関)はそれぞれコンピュータ化をしていますが、お互いにデータを共有・活用できる状況にありませんでした。
9月1日に発足するデジタル庁がCIQに関する手続きの全体を一つのシステムにしていくことで、通関の時間を大幅に削減していくことをはじめ、各所での効率化、国民にとっての利便性向上を目指します。

■ 不妊治療の保険適用
来年(令和4年度)から始まります。今年一年はシステム改修のために保険適用はできませんが、その分にあたる助成金を拡充しています。また、不育症についても国の助成制度をスタートしました。

■ 小学校の35人学級の実現
今年の通常国会で法律が成立しました。現在は40人の学級編成ですが、それを5年間かけて35人に引き下げます。少人数学級の実現は、教育現場から強い要望が上がっていましたが、菅政権でようやく実現しました。
学級編成の人数を一律に引き下げるのは昭和55年以来約40年ぶりです。このことにより、誰一人取り残すことなく、すべての子どもたちの可能性を引き出す教育、個別最適な学びと協働的な学びを実現する教育、一人ひとりの教育的ニーズに応じるきめ細やかな指導体制、安全・安心な教育環境を目指しています。
現在導入されているGIGAスクール構想によるICTを活用した教育など、現在の状態に合わせて教育現場に求められているものも変化していきます。こうした変化に適切に対応し、子どもたちの可能性を引き出せる教育現場にしていきます。

■ 「2050年カーボンニュートラル」表明と予算化
菅総理は「2050年カーボンニュートラル」を就任直後の国会で表明しました。地球温暖化を促進する温暖化効果ガス、代表的なものがCO2ですが、それを増やさないというのがカーボンニュートラルです。
CO2を全く排出しない生活というのは無理ですが、生産等による排出量と植物の光合成などによる吸収量、これらのプラスマイナスをゼロにしようという考え方です。ご存じの通り、日本は中国、アメリカ、インド、ロシアに次ぐ、世界5番目のCO2排出大国でもあるのです。
世界ではすでに120以上の国が2050年カーボンニュートラルを目指す宣言をし、動き出しています。イギリスをはじめとしたいくつかの国では、2035年にガソリンエンジン搭載車が走れなくなるなど、カーボンニュートラルに資する製品しか売ることができなくなってくるのです。
そのなかにあって、日本は経済を支えてきている自動車産業などに厳しい変化が求められるため、なかなか合意できずにいました。しかし日本の将来のために菅総理の政治決断で、日本もカーボンニュートラルを目指す国として名乗りを上げることになりました。
菅総理は、この変化を新たなビジネスチャンスととらえ、官民挙げてこの変化に取り組み、開拓していくべきだとして、「カーボンニュートラル基金」2兆円も創設しました。10年間研究開発・実証から社会実装までを継続して支援していきます。
また参加国は、約10年後の2030年にどれだけ炭素の排出量を減らすかという国の目標を求められています(これはNDCと表記されています)。日本は今年、2013年度の排出量比で2030年に46%を削減していくと国際的に約束しました(できる限り50%の高みを目指していきます)。
私が菅総理に同行して訪米した際も、その直後の日程で米国主催の気候変動サミットが開かれています。この秋にはCOP26という気候変動の国際会議もあります。
このカーボンニュートラルは既に国際的な大きな潮流となっており、国際政治の重要なポジション争いの場になっています。昨年、日本がカーボンニュートラルを宣言したタイミングというのは、まさにルールメイキングができる、つまりお互いの国が守る約束をつくっていく側に入れる最後のタイミングでもありました。
日本の産業にも大きな影響を与えていく分野で、日本は何とかそのチームの主要な一員となることができたわけです。
ここで日本の経済成長を引っ張っていく会社・技術が出てくるよう、できるだけの支援をしていきたいと思います。


■ ALPS処理水の海洋放出を決定
原発事故の結果生じる汚染水をALPSという装置で処理した水を今まで貯蔵してきましたが、限界を迎えようとしています。
この処理水はトリチウムなどが含まれていますが、IAEA(国際原子力機関)の定めた基準を大幅に下回っている濃度であるため、海洋放出しても問題ないというお墨付きをもらっている品質です。しかし中国、韓国をはじめ、反対する国があることはわかっていた上に、福島への風評被害を再燃させる可能性もあるので、国としてはタイミングを計ってきました。これも菅総理の決断で、福島の復興のために海洋放出を決定しました。
このタンクのある場所に原発廃炉のための施設を造らなければならないのです。この問題を先送りしようとすればできないものではありませんでしたし、政府として批判を招くのもわかっていました。しかし、限界を迎えようとしているのがわかっているのなら、誰かが決断をしなければなりません。やるべきだと判断すれば、果断に実行していく菅総理らしさが出た政治判断です。

■ 黒い雨訴訟の決着
総理の決断で控訴を見送りました。行政の長としてはなかなか踏み切りにくい内容だと思いますが、原告の方々の高齢化なども考慮し、寄り添う形で決着しました。

■ その他
安全保障上重要な土地を守る重要土地等調査法の成立RCEPの締結、『自由で開かれたインド太平洋』の具体化に向けた決意を一致して発信する重要な機会である「QUAD首脳会議」を初開催するなど、防衛・外交などにも力を注いでいます。

時報紙 21年9月号 NO218-1 はこちらから。

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