CKDの重症度は腎機能の働きと蛋白尿で評価
慢性腎臓病(CKD: Chronic Kidney Disease)は、腎臓の機能が低下し、進行する疾患です。CKDの重症度を評価する際には、主に腎機能の働きと蛋白尿の有無が重要な指標となります。この記事では、これらの指標をどのように評価し、CKDの重症度を判断するかについて詳しく解説します。
1. 腎機能の働き(GFR)
GFR(糸球体濾過量)とは
GFRは、腎臓が血液をどれだけ効率的に濾過しているかを示す指標です。GFRの値が低下すると、腎機能が低下していることを意味します。GFRは以下の方法で算出されます。
血清クレアチニン値を基に計算されることが一般的です。
年齢、性別、体重なども考慮されることがあります。
GFRの評価基準
GFRの値に基づいてCKDは以下の5つのステージに分類されます。
ステージ1: GFR ≥ 90 ml/min/1.73m² かつ腎臓の損傷がある
ステージ2: GFR 60-89 ml/min/1.73m² かつ腎臓の損傷がある
ステージ3a: GFR 45-59 ml/min/1.73m²
ステージ3b: GFR 30-44 ml/min/1.73m²
ステージ4: GFR 15-29 ml/min/1.73m²
ステージ5: GFR < 15 ml/min/1.73m²(腎不全)
2. 蛋白尿
蛋白尿とは
蛋白尿は、尿中に異常に高い量の蛋白質が含まれている状態を指します。正常な腎臓では、ほとんどの蛋白質が血液中に再吸収され、尿中にはほとんど含まれません。しかし、腎臓の濾過機能が低下すると、蛋白質が尿中に漏れ出すようになります。
蛋白尿の評価方法
蛋白尿の評価は、主に尿検査で行われます。以下の方法があります。
尿蛋白試験紙法: 尿試験紙を用いて蛋白尿の有無を確認します。
定量的な尿蛋白測定: 尿中の蛋白質の量を正確に測定する方法です。24時間尿蛋白測定やスポット尿のアルブミン/クレアチニン比が用いられます。
蛋白尿の重症度
蛋白尿の量に応じて、CKDの重症度が評価されます。
微量アルブミン尿: 30-300 mg/日
顕性アルブミン尿: 300 mg/日以上
3. CKDの重症度評価
CKDの重症度を評価する際には、GFRと蛋白尿の両方が重要です。これらの指標を組み合わせることで、患者の腎機能の状態を総合的に判断します。
重症度のマトリックス
CKDの重症度は、GFRと蛋白尿の組み合わせにより以下のように分類されます。
G1(ステージ1): GFR ≥ 90 ml/min/1.73m²
G2(ステージ2): GFR 60-89 ml/min/1.73m²
G3a(ステージ3a): GFR 45-59 ml/min/1.73m²
G3b(ステージ3b): GFR 30-44 ml/min/1.73m²
G4(ステージ4): GFR 15-29 ml/min/1.73m²
G5(ステージ5): GFR < 15 ml/min/1.73m²
これらに加えて、蛋白尿のレベル(A1, A2, A3)を加味して、患者のリスク評価が行われます。
A1: 正常から微量アルブミン尿(<30 mg/g)
A2: 微量アルブミン尿(30-300 mg/g)
A3: 顕性アルブミン尿(>300 mg/g)
例えば、G3aA2はGFRが45-59 ml/min/1.73m²で微量アルブミン尿がある状態を示します。
4. まとめ
CKDの重症度を正確に評価するためには、腎機能の働き(GFR)と蛋白尿の有無を両方考慮することが重要です。定期的な検査を通じて、これらの指標をモニタリングし、適切な治療と生活習慣の改善を行うことで、CKDの進行を遅らせることができます。医師と協力し、これらの評価を基にした治療計画を立てることが、健康な腎臓を維持するための鍵です。