俳甲27thのいいな〜〜ってなった句


1.まえがき

  今年も俳句甲子園が終わりました。優勝は名古屋高校Aチームでした。

決勝戦の対戦カード

昨年までは選手として来ていた松山ですが今年は観戦者として訪れました。同期に会ったりしたのもありましたが、そもそもの俳句甲子園という大会が面白いのでかなり楽しめました。観戦してみて思ったのはディベートって見てても面白いんですね、すごく見応えのある試合が多かったようにも感じました(個人的には、決勝リーグAブロック第3試合:名古屋Avs開成はディベートの手本となりうるベストバウトではないかと観戦して思いました)。

  そして観戦者として(一応母校の練習に微力ながらお手伝いをしたりはしてましたが)各校の句を見るとやはり今年も自分にとって面白いな、好きだなと思った句が何句もありました。そういうわけでまた自分がいいな〜と思った句をまとめてみました。

  本記事ではそういった句をならべるだけの記事となっております。ぜひ読者の方も面白いなと思う句があればコメントしていだけるとうれしいです。それ以上に句の作者さまにそういった思いが伝われば幸いです。

※おねがい

作者さまのお名前を載せています。もし名前を消して欲しいという方がいらっしゃれば私のTwitterへDMしていただきたいです。すぐに匿名にいたします。
また、句やお名前の誤り等あればお教えください。

2.いいな〜〜ってなった句

風が来ている翡翠に淋しき血/林千乃

炊事場の固き蛇口や翡翠鳴き/末光由季

メロン食ふために話へ加はりぬ/小田健太

ハンカチーフ大きな風を待っている/加藤湊人

天窓のごとくハンカチ開きけり/渡辺悠月

宿直の夜のハンカチを濯ぎけり/金子晃

翡翠の鉄橋を抜け風を抜け/森山文結

刃を入れて家のつめたきメロンかな/須藤臣人

翡翠の打ちたる水や喜々と跳ね/佐藤拓智

ハンカチのパリいつまでもほつれている/安里由梨

ハンカチにそっと触れていたい夜/伊佐綾乃

ハンカチの角きつちりと面接日/組島綸乃

翡翠や幼いころのプロポーズ/坂下結芽

メロンに刃入れ部屋中の夜が匂ふ/長濱星龍

濃く匂ふ日なたメロンの試食会/川原すずか

刃を入れてメロン水平線を得る/渡邊一樹

メロン食ふ液晶だけが光る夜/天久大輔

ハンカチの畳み方まで綺麗なり/竿本啓晴

翡翠や匂ひの変はる村の道/上松篤史

水切りを追い越してゆく翡翠かな/武井佳奈

眩しさを残してゆける翡翠かな/下園茉央

湖風に冷え奪はるるメロンかな/澤村裕大

メロン食ふ街の深さを誰も見ず/下園茉央

ハンカチを振れば真白き雲ばかり/宮原杏紗

夕陽まで続く石段汗拭い/引地佳歩

ハンカチや四角に旅を折りたたむ/松崎帆香

ポケットのハンカチ引つこ抜けずゐる/服部亮太

翡翠や職人だけが持つ呼吸/増田莉子

泣ききって軽き身体や翡翠来る/小原杏菜

翡翠をなほ覚えたる水面かな/瀬野竜旺

飛び上がるかわせみ水を脱ぎ捨てて/引地佳歩

王冠のやうにメロンを取り出しぬ/服部亮太

大小のハンカチ五つ干してあり/藤田翔琉

翡翠や水はやつぱり青いやも/福眞颯子

かはせみの色に名前の間に合はず/飯本真矢

ハンカチや砂場にやはらかき山河/植原拓巳

船旅のいまハンカチをよろこばす/鬼澤優太朗

ハンカチが干されあらゆる風に音/長谷川実奈

ハンカチや象は日暮を濡れて待ち/清水航

開演を待つさまざまな汗拭い/森有沙

翡翠や川は宛名のなき手紙/清水航

翡翠のかがやきに雨来たりけり/工藤直樹

翡翠はいつも全力だから青/田中仁

つやめきを乱し翡翠魚を摘む/森有沙

アンデスメロン雨のあかるき台所/鬼澤優太朗

カットメロン角透けかけてをりにけり/森有沙

タクシーの白き座席にメロンかな/木村陽翔

ハンカチを引き出す飴のこぼれ落つ/吉岡心晴

ハンカチやその子に草の匂ひして/河合菜々子

メロン待つ皿のずらりと光りたる/河合菜々子

ひどく暑い群青をビルが崩れる/安里由梨

死者に似て畳をとほる暑さかな/澤村裕大

ミニカーの扉開かぬ暑さかな/加納輝一

暑き日や母音の長きこんにちは/富永來斗

足組んで腕組んで暑に抗へる/福田匠翔

校庭の木のうなだれている暑さ/藤田翔琉

牛の群暑を引き摺つて来たりけり/田籠瑛

穴ありて暑のはじまりと思ふなり/工藤直樹

涅槃寂滅暑きに殖ゆるビルならむ/下島力

屈伸に重力のある休暇明/岡山朝日高校

休暇明頭蓋はものを考へぬ/山形東高校

休暇明帯のまぶしき啓発本/下館第一高校

馬肥えてすべて日日向の岬かな/太田惺

馬肥ゆる角塚古墳より声が/及川華凛

一つくらゐ星はまぼろし馬肥ゆる/工藤直樹

もつとも大きがもつとも暗し鶏頭花/東野礼豊

鶏頭やざわざわと脱ぐ雨合羽/服部亮太

壊す機械造る機械や鶏頭花/工藤直樹

稲妻や風に痩せたる縄梯子/與那嶺陽大

馬肥えて岬の風が蹴り上ぐる/請関真歩

鶏頭に昼間の土のひろびろと/速水彩華

散水車栄華の如く進みゆく/加納輝一

栄転をしたり絵双六の父は/東野礼豊

アイスキャンディー栄養ないし好き/知念ひなた

栄の字に似て噴水の真つ盛り/服部亮太

蜜豆の缶ずつしりと栄作忌/澤村裕大

稲妻の使ふ盆地の広さかな/鬼澤優太朗

階段に影の重なり合ふ暑さ/瀬野竜旺

馬肥えて遠くを見たり吾も見る/渡辺悠月

道産子の肥えて大地とともにあり/伊藤洸葵

街栄ゆ秋草にくつきりと影/新堀笙子

空しんとしてかはせみ飛ぶ予感/河合菜々子

缶蹴つて未来永劫暑からん/寺田侑史

稲妻や海のあなたに街のある/小原杏菜

計:83句

引用元:俳句甲子園の歴史
https://haikukoushien.com/upload_pdf/27th.pdf

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