三陰交を押すと安産になるメカニズム
三陰交を押すことで安産になりやすいことは多くの方が知っています。それはツボだからではなく、実際に研究で証明されています。
その研究で証明されていること、事実を基に記事を書きます。
三陰交を押して安産になった研究
2014年にトルコで発表された研究で、陣痛に対して三陰交にどんな効果があるのかを調べました。
結果は三陰交を指圧すると、陣痛の軽減と分娩時間の短縮に有効だと判明しました。
研究の方法
分娩中の100 人の初産婦が、三陰交の指圧群と対照群に分けられて行われました。三陰交の指圧群では、両脚の三陰交に指圧が行われました。子宮頸部の拡張が2~3cmの場合は15回、子宮頸部の拡張が5~6cmの場合は10回、9~10cmの場合は10回で指圧されました。
分娩痛は、主観的な分娩痛尺度(視覚的アナログスケール-VAS)で測られました。*VASというのは数字のメモリがついていて、0が無痛、数字が大きくなるにつれて痛いを表しています。その人の主観で感覚的にどれくらいかをその数字で測ります。
VASを使用して、拡張が2~3 cm(VAS 2)の場合に5回測定されました。SP6ポイント(VAS 1)に指圧を加えた前後の5~6cm(VAS 3)および8~9cm(VAS 4)、そして最後に産褥期(VAS 5)。
両群の分娩時間はパルトグラフで測定し、分娩時間は 2 段階で計算しました: 3 cm の子宮頸管拡張から完全な子宮頸管拡張まで、および完全な子宮頸管拡張から分娩までです。
研究内での考察
以下、論文の概要を一部抜粋しそれを訳した文章です。
陣痛は、神経内分泌ストレス反応、ACTH、コルチゾール、エピネフリン、ノルエピネフリン、β-エンドルフィンのレベルの上昇を引き起こすことにより、交感神経系を刺激します。また、子宮への血流も減少させ、アシドーシスや胎児の低酸素症を引き起こします 。
このような理由から、陣痛は絶対になくすべきです。陣痛を解消するには2つの方法があります。
1 つ目は、より一般的に使用される薬理学的方法によるもの。
2 つ目は、それほど頻繁には使用されない非薬理学的方法によるもの。
3つ目は、指圧などの非薬理学的方法は、十分な痛みのコントロールを提供し、適切な医師の監督のもとでは母親と胎児に無害です。さらに、これらの方法は陣痛を遅らせることはなく、副作用やアレルギー関連のリスクもありません。陣痛を軽減し、分娩時間を短縮するために使用される非薬理学的方法の 1 つは指圧です。
指圧は、鍼治療で使用されるものと同じ経穴を操作する手段ですが、針は使用しません。崑崙、至陰、肩井、合谷、陰陵泉、および三陰交に使用される指圧は、下垂体からのオキシトシンの分泌を刺激することにより、子宮の収縮または分娩期間に影響を与えます。三陰交は、肝臓、脾臓、腎臓の経絡の接合点です。伝統的な中国医学の原則に基づいて、この経穴は脾臓を強化し、陰と血液、肝臓、腎臓のバランスを回復するために使用されます。この三陰交は、分娩誘発や分娩中の痛みの軽減など、女性の生殖器疾患の治療にも一般的に使用されています。
圧は、痛みに対する神経内分泌の反応を低下させることにより、妊婦のカテコールアミン、ベータエンドルフィン、ACTH、コルチゾールのレベルの上昇を防ぎます。したがって、母体の代謝速度、酸素消費量、アシドーシスや心血管系の副作用のリスクが防止され、分娩の進行が促進されます。
考察
研究では上記のように考察されていましたが、同時に指圧で痛みが減少するメカニズムは正確にはわかっていないともあります。
大事なことは「三陰交は安産に効くと言われていて、実際に押したらなんとなく効いているからいい」ではダメということです。
なぜなら、理由がないと基本的には怖いからです。
もし自分が苦しい時に「なんとなくこれが効くからやってみなよ」と言われてやりたいと思う人はいません。もし、「これをするとこんなことが起きて楽になるからやってみなよ」と言われたらやってみたいと思うはずです。
身近な具体例
ある女性の子供が病気や体調でたくさん薬を処方されていたそうです。あまりにも薬の量が多く、それが返って体に悪いんじゃないか?それほど薬が必要なのか?という疑問を女性が持ち、薬の中から抗生物質の投与を自分の判断でやめたそうです。薬を中断してから子供の症状が悪化してしまい、病院に行って先生に怒られたそうです。
僕の意見
この話はインスタグラムのどこかで僕の妻が読んだ話です。
先生に言われた通りに飲ませない母親が悪い。という意見もあると思いますが、僕の意見は違います。先生の説明が不足していることが原因だと考えています。
どうしてその薬が必要なのかを理解できないから、お母さんは薬を与えるのを疑問に持ちました。もし、先生がどうしてその薬が必要なのかを説明していたら投与をやめなかったはずです。どうしてその量の薬が必要なのかを知っていたら、不安にも思わなかったはずです。人間は理由がわからないと不安に感じてしまうから、医療機関では説明がとても大切になります。特に日本では「効きもしない抗生物質を風邪の薬として処方されている」という話が噂になってからは、抗生物質の印象が良くないこともあります。
このように先生から説明を受けられずに不安を感じるという話は地域のママさんからよく聞きます。そして、説明をしっかりしてくれる先生の評判が最もいいのも良く聞きます。
このように理由がはっきりとしていないと不安になるものです。西洋医学では基本的には説明ができます。説明がなくても必ず科学があるからです。
東洋医学では説明がない、またはできないということがよく起きてしまいます。「ツボがいいと言われていて、それで実際に安産になるからいい。」もちろん妊婦さんにとってはメカニズムなんてクソがつくほどどうでもいい話です。最も大切なのは、安産になることで陣痛が減ることだからです。ですが、術者がなんとなくでケアを指導することはいいとは思えません。
東洋医学は考え方は科学ではありませんが、メカニズムは科学で証明されていることもたくさんあるし、まだ証明されていなくてもある程度科学で説明することはできます。
三陰交が安産になるメカニズムを妊婦さんに関わるより多くの方に知ってもらえたら嬉しいです。
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