見出し画像

慢心と謙虚

近所の食堂で食べたジビーフのハム。みなさん避けるバラですよ。びっくりしました。バラをハムにするなんて誰が想像できます?しかも、おいしくてヤバいです。

長く生きてると一度や二度、成功体験をしたことがあると思います。いわゆるプチ成功ですが、若いときにこれを経験すると勘違いしがちです。あまりにも度が過ぎると周りの人たちは去っていきます。

ある和食の名店から独立した若者がいました。29歳だったかな。オープンからすぐに予約困難店になり、師匠にこう言ったのです。「師匠、おかげさまで先の先まで予約でいっぱいです、凄いでしょう」と。

すると師匠はこう言いました。

「おまえなぁ、俺の店で修行していたという看板があるからお客さんが来てくれてるんや。お前の顔でだれがわざわざ来るか!勘違いするなボケ」

ボケは僕が付け足したんですが、勘違いがエスカレートすると止まらないんです。脳が錯覚して、神がかってると思い込んでしまうのです。予約が入り続ける限り、錯覚から覚めず、なんなら師匠を追い越したと世界最大の勘違いをすることになります。

でもね、商売は良いことばかりではありません。いつか痛い目にあいます。そのときに本来助けてくれるであろう本当のお客さんは、もういません。いま数ヶ月先の予約をしてくれているお客さんは、予約することで満足しているのかも知れません。まずは席を押さえて誰を誘うかは後で決めればいいや、という人も少なくないですから。

いつまでも愛されてる料理人は、いつ会っても謙虚です。常日頃から、そういう姿勢を意識すれば自ずと身につきます。

アクアパッツァというイタリア料理の名店があります。日高シェフは僕より4つ年上です。イタリア料理やってる人なら知らない人はいないでしょう。まさにレジェンドです。

いつだってたか、代官山のファロで食事していたとき、一人の男性が僕に声をかけてきました。深々と頭を下げて、いつも西山がお世話になっていますと。西山はアクアパッツァ出身でブルスタというレストランを東京浜町でやっています。ファロの樫村さんも姉妹店のモンドの宮木さんもアクアパッツァ出身です。

僕はお名前はもちろん存じ上げていたのですが、顔は知らなかったので、ご挨拶にわざわさま来ていただいたことに恐縮して、日高シェフより頭を下げなければと、硬い体を懸命に曲げたのでした。

長く料理人としてやっていくには、お客さんに愛されないといけません。料理がおいしだけでは続かないのが飲食店です。果たして僕はできているだろうかと、ときどき日高シェフを思い出します。

20代で謙虚さがなければ、成長もないと思ったほうがいいです。日常生活から謙虚ない気持ちを心がけた生活をしましょう。

お知らせがあります。
明日4月13日(土)、文化放送の「村上信五くんと経済クン」に出演します。朝9時からの放送です。お時間ありましたらお聴きください。

ネット局一覧
IBC岩手放送
毎週火曜日 21:00~22:00
YBC山形放送
毎週土曜日 9:00~10:00
YBS山梨放送
毎週日曜日 11:00~12:00
SBS静岡放送
毎週土曜日 15:00~16:00
WBS和歌山放送
毎週火曜日 21:00~22:00
CRラジオ関西
毎週日曜日 12:00~13:00
RSK山陽放送
毎週土曜日 19:00~20:00

ありがとうございます!