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海外で働くことについて

手前から日本橋蛎殻町すぎたさん、徳山鮓さん、チェンチ坂本シェフ。3人とも海外で働いた経験はありません。杉田さんは鮨なので海外は関係ないとして、徳山さんも和食だし、坂本シェフはイタリアンだが、イタリアに行ったことはあるものの、働いた経験はありません。坂本シェフはいくつかな?40後半だと思いますが、同年代の料理人はフランスやイタリアで働いた人そこそこいると思います。なのに坂本シェフはなぜイタリアで働かなかったのか?

働こうと思ったこともあったらしいのですが、理由を聞いて納得しました。もし坂本シェフがイタリアで数年でも働いていたら、いまのチェンチはないかも知れません。海外で働くことに憧れる若者もいますが、今日はそんな話を書いてみます。

たまに若い料理人から相談されることがある。若いと言っても20代もいれば30代、たまに40代もいる。年代によって相談内容は異なるが、20代の子は、どこそこのレストランで働きたいがどうすればいいのか?とか、海外で経験を積んだほうがいいのか?とか、この2点がほとんど。

ジャンルによっては海外で短期間でも学んだほうが良い場合もあります。でも、それは基礎ができている人の話です。いまや、世界的に見ても日本は食の先進国なので、わざわざ行く必要ないと思うのが僕個人としての意見です。言葉の壁もありますし、それだけでもハンデです。20年とか30年前なら日本で学べないことを海外で求めるのは理解できます。しかし、いまやアジアベスト50にしろミシュランにしろ、日本人シェフの活躍は素晴らしく、逆に海外のシェフが日本に学びにきているくらいです。

例えば、海外で3年働いて、帰国したときには日本の飲食も次のステージに進んでいるわけだから、ブランクになる可能性だってある。

日本で何も成し遂げていないのに、海外へ行ったところで1からでしょう。それより、日本である程度のキャリアがあり、その上で3年ほど行くなら話は別ですが、何者でもないのに憧れすぎです。行くことで満足しているように思えますし、僕なら日本で頑張るかな。

あと、ワインの勉強をするために海外へ行きたいと言う相談もあります。醸造やるにしてもショップをやるにしても、あまり意味がないと思います。学ぶなら日本で十分ですし、経験を積みたいなら1ヶ月ほどヨーロッパ回れば満足すると思います。

海外に目が向くのも分かりますし、若いときしか行けない、今しか行けないというのも分かります。でもね、何度でも言いますが日本で何か成し遂げたの?

海外から帰ってきたら、同年代の子たちはかなり先に行ってるよ。これからは、海外で働いてましたで箔がつく時代でもないしね。

ありがとうございます!