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哲学

一年半前から、知人のご自宅にお邪魔して料理をいただいてまして。ひと月に一回の集まりなので、そこそこ頻度は高いです。ときどきイルジョットの高橋シェフもご近所なので自転車でふらっと遊びにきたり。そうなると必然的に肉多めの料理になるのですが、ハラミカツは定番になりつつあり、最初の頃に比べると、もはやプロです。そのうち店出すんじゃないかと、、たぶん、出しますね。

独立して35年が過ぎました。いまの時点で僕が思うことは、可能な限り純粋なままの牛肉であること。そのためには、牛に無理をさせず、枝肉は格付けに惑わされず、肉は保存こそ重要であり、必要以上に柔らかくせず、繊維を意識した仕事をすること。その結果として牛が育った土地や月齢を反映できれば成功だと思う。

要はこういうことです。牛に無理をさせず、というのは、いかに健康に育ったか。生産者はそこを意識してストレスフリーな肥育を心がけているとは思います。しかし、屠畜して割ってみないと分からないこともあります。

枝肉の状態で瑕疵がついていても、肉へのダメージはそれほどなかったり、どのような経由で瑕疵がついたのか、肉を見ればある程度の想像はできます。内臓も同じくです。

枝肉を目利きするとき、ついつい、格付けにひっぱられることがあります。A5はひとつの基準であり、ものさしだと頭で理解していても、です。雌牛がおいしいというのも同じです。もちろん好みや、牛とはこうあるべきという理論めいたものもあるとは思います。僕にもあります。

僕はA3あたりの枝肉を選ぶことが多いのですが、これは「すぐに使える肉」と「すぐに使えない肉」の違いで、仕事のやり方、考え方、哲学みたいな。このあたりはまた別の機会にでも。

硬い肉を柔らかくすることは、それほど難しいことではありません。しかし、僕の考え方は、硬い肉は硬いままで食べてほしい。もちろん限度があります。歯が丈夫じゃない人もいます。そのあたりは、仕事の加減ですが、肉の繊維を感じていただけるように、手仕事で感動してもらえればと思っています。

レストランで食事をしていて、やたら説明が長い経験したことないですか。僕はせっかちなので、説明の途中で食べ始めます。説明終わってないのに、お皿がきれいになってることもあります。

僕は料理から感じたいタイプなので、説明は短めでお願いしたいのですが、僕が手当てする肉も、理想はテロワールを感じてもらえればと思っています。さらにミレジム(ワインでいうところの西暦、牛なら月齢)まで気にしていただけると、会話も楽しくなります。かなりマニアックですが。

いま、東京からのぞみで京都へ向かっています。京都駅からJRに乗り換えて南草津駅まで20分程度。移動中にnoteを書くことがほとんどですが、頭の整理にもなっていいですよ。


ありがとうございます!