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経産牛

大人気のスズキ・ジムニーのマスコットといえば、リヤのスペアタイヤカバーにプリントされた「サイ」(RHINO=リノ)だ。30年以上ジムニーのマスコットとして世界中で愛されてきたのだが、そのサイをデザインしたのが、難波治さんだ。難波さんが愛農ポークのファンだったことから、仲良くなり、愛農ポークのデザインをしてもらいTシャツを作成しています。そして、この夏、あまりの暑さに速乾Tシャツが欲しくなり、今回、デザインも新たに牛と豚でカッコいいのができあがりました。


「新保=経産牛」みたいに思っている方がいるみたいで。確かに経産牛、特に和経の販売数は全国的に見ても精肉店としては多いほうだと思います。

そういうこともあってか、経産牛とか熟成肉のイメージが強いみたいです。実際はどうかというと、数量換算すると圧倒的に近江牛の扱いのほうが多いです。

近江牛は販売店も多く、どうしても流通の少ない経産牛にスポットが当たりがちなので仕方のないところではありますが。

経産牛については説明いらないですよね。知らない方は検索すればいくらでもヒットしますしね。

先日、友人から聞かされた嬉しくない情報ですが、どのような状況だったのかは分からないですが、会話のなかで僕の話がでたらしいのです。でね、友人のお相手の方が、「新保さんて経産牛を安く買い叩いて高く売ってる人でしょう」と言ってたらしくて。すごい言われよう。

会話の前後が見えないので、僕も言葉だけ中抜きして受け止めるわけにはいかないのですが、僕がどうこうより、経産牛のイメージって、少しは良くなったのかなと思っていたのに、あまり変わってないことに驚きました。まだそんなふうに思っている人がいるんだと。

確かに、経産牛って安いですよ。そりゃそうでしょう。未経産の牛より高かったらおかしいでしょう。だって、子供たくさん産んで骨も身も痩せて、肉は硬く、サシもないので評価もできない。経産牛ってそんな牛です。

セリでも、買い手がつかないこともあるんですから。そういうときはスタート値を下げていくのですが、それでも買い手がつかなければ、持ち戻しといって生産者が持って帰るんです。実際は枝肉になってるので、いくらでもいいので買ってくれないかと頼みまくる姿を何度も見てきました。

なんかせつなくないですか。牧場に貢献してきて、最後は買い手もつかないなんて。買う側も、商品化できないものは、タダでもいらないし、廃棄するにもお金がかかりますからね。そこはビジネスですから仕方ない。

だからね、買い叩くというのはあながち間違いではないのです。もちろん、僕は値切ったり足元みたりしないですよ。だいたい、知らない農家さんの牛は買わないですから。僕のやり方は、値段は僕が決めるのではなく
農家さんに決めてもらってます。それは経産牛だけではなく、ジビーフもあか牛もすべてです。

でね、僕が扱う経産牛ですが、9割は再肥育したものです。種がつかなくなって、そのままでは先にも書いたように、商品化できないので、半年〜1年近くもう一度肥育して、しっかり肉がついたころに出荷します。

そこにはエサ代もかかるし、農家さんも経費かかるし、僕も熟成させるので諸々の経費がかかります。だから、高く売るというのも間違いではありません。かと言って、安く買い叩いて高く売る、ということとは少しばかり、いや、かなり違います。

経産牛を扱っている方々は、僕も含めて、安いから、という理由ではないはずです。そして、そんなに安くないです。だって、枝肉で買っても、ロース、ヒレ以外は商品価値が低いので、値段のとれる部位で単価を上げてバランスとるのが枝肉の使い方なんです。

ロースのみ仕入れることも可能ですが、その分、単価は高くなるので、結局は安くはないということです。もちろん未経産と比べれば安いですよ。でも、そこは比較するところではないし、未経産とは別の価値を創造するために、みなさん一生懸命やってると思うのです。

これは僕の持論ですが、どんなに良い肉でも保存方法で決まると思っています。だからこそ、僕は真空パックはやらないし、骨付きの枝肉にこだわっています。経産牛は再肥育しても、肉は硬いです。それを熟成という技術で、繊維を緩めておいしくしていきます。それが未経産とは違う価値観なのです。

経産牛への偏見は一部の方だけかもしれないですが、おいしくするには時間もかかりますし、経費もかかります。だから、少しでも高く売って農家さんにも還元しないと、農家さんは忙しいだけで、魅力のない仕事になってしまいます。

そうなると僕たち精肉店も困りますし、未経産をありがたかる人たちも、経産牛がいなければ成立しないことぐらい理解できるはずです。

ということで、僕が買い叩いていると言われたので反論してみました。というのは嘘ですが、経産牛をもっとおいしくして、1人でも多くのファンが増えればいいな、と思っています。ヨーロッパの肉食文化のように。まずはそこを目指して。その後は僕なりの世界観で経産牛にもっとスポットがあたるように。


ありがとうございます!