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4/18「ぜんたい」

僕たちが生活できているのは、僕たちが生活費を稼いでるからではなく、人の生活を支える人が居るから。

椅子取りゲームを30人でやるなら、「誰が座れなかった」とか「椅子が減った」とかが目にみえるけど、1億2000万人になった途端、それが見えなくなる。

大きく見た時「AIだったり、ロボットによる効率化でイス自体が増える(1人あたりの生産力が上がる)」と言えるのだと思うけど、目の前を見た時、実際にそんな技術の恩恵にあずかれて居る人はどのくらい居るだろう?

大きな企業に属す人であれば、効率化に予算が割かれ、業務が簡単になっていくことがあるかもしれないけど、個人、または小規模に商いを行う人は?AIが働いて、人間があまり働かなくて良くなる「かも」知れないけど、いつくるかわからないその時まで、引き続きイス取りゲームはおこなわれていて。

イス自体を作る人になりたい。目の前に居る人に、ぼくが知っていることを伝えること。聞きに来てくれた人に、なるべく伝わるよう、話すこと。まずはぼくが楽しく生きていること。思考に、趣味に、没頭していること。それを動力に、人と関わっていくこと。働いていくこと。

 「年金問題もそれと同じなんや。お金が足りないんやない。少子化によって、生産力が足りなくなるんや。1個しかないパンを若者と老人の2人で奪い合うようなもんや」
 若者から老人への仕送りが多ければ、若者はパンを買えなくなる。逆に、仕送りが少なければ、今度は老人がパンを買えない。だから多くの人は、老人がお金を貯めておくべきだと考える。そうすれば若者も老人も、パンを十分に買えそうだ。
 だが、それは本質的な解決からはほど遠い。いずれにしても、パンを1個しか作れないことに変わりはないのだから、結局はパンが高騰して2人で半分ずつ分け合うしかない。
 「個人の視点では、パンにありつくためには、お金を貯めることには意味があるで。せやけど、全体で考えると、みんなでお金を貯めても何の解決にもならんのや」
 「なんだか、イス取りゲームをしているみたいですね、僕たち。1億2000万人参加のイス取りゲーム」
 「僕もほんまにそう思うわ。少子化によって働く人の割合が減るってことは、イスが減るということや。その一方で、高齢者は増えるから、介護職の数を今後20年で3割増やさんとあかんと言われている。仮に、増やせたとしても、他の仕事をする人の数が減る。他の分野で物やサービスが足りなくなるんや」
 優斗はため息をついた。
 「無理ゲーですよ、それ。お金貯めても、物が足りなければ、値段が上がるんですよね。お金をたくさん持っていたらイスに座れるけど、誰かがイスからはじき出されるってことでしょ?」
 まさに、相手を蹴落とすことでしか勝ち残れないサバイバルゲームだ。みんなで協力して生き残ることなんてできやしない。
 「1億2000万人もおると、イスの数が減っていることにも、誰かをはじき出していることにも気づかへん。みんなが、お金を貯めさえすればいいと思ってしまうんや」
 「イスを買うお金を貯めるんじゃなくて、すぐにイスを作ったほうがいいですよ」
 「優斗くん、それなんや」
 ボスはニカッと笑った。
 「僕らは、未来のためにイスを作らんとあかんのや」

きみのお金は誰のため p95~96より

きょうも、のんびり、ぼっとうしていきる✌︎('ω')✌︎

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