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社会適合化計画その1

4ヶ月と言う短さで退職した、2022年夏までの話をしようと思う。私がやっと人類に近づこうと立ち上がったときのことだ。

入社したのは2022年3月頃だった。高卒ニート、21歳にして初正社員。
就活をする前に通った職業訓練校で半年間学んだものはあまり役に立たなそうだな、とまた時間を無駄にしてしまったことに落ち込みながらも定職につけたと言う安心感を得て満更でもなかった。

未経験募集のエンジニア職だったので、簡単なことから経験を積んでいくのだと思っていたら、指定された資格を取るまでは派遣先でテレアポをするとのことだった。

資格取得のためのPCやテキストを自費で買った。合格したら受験料は返金されるらしいが、数ヶ月経っても返されてない人もいるみたいだった。1ヶ月の労働時間が決められていて、それを下回るとお給料は減額されるし、求人の完全週休二日制は嘘だった。月によっては毎週2日休んでいたら満額のお給料はもらえない。資格を取るまでは試用期間らしい。半年間と聞いていたけど1年くらい試用期間の人もいた。聞いてないことだらけだった。

1箇所目の派遣先では、毎日1時間以上のサービス残業があった。そもそも残業代という概念があったのか疑問ではあるが。挙句、よく説明もされずクビになった。思い当たる節はあるが、ありすぎて何が決定打なのかわからなかった。その後は2箇所目が見つかるまでの1ヶ月間無給で家に引きこもっていた。2箇所目は1日の稼働時間が短くてお給料が減った。元から少なかったけど。

テレアポなんて、する側もされる側も必要だなんて思っていないだろ。と思っていたし、今も思っているが、コミュ力もなければ電話も苦手な私なりにやれることはやったつもりだった。

何が楽しくて怒鳴られることがわかっていて毎日何百件も電話をかけるのか。お客さんもキレてる暇あったら電話を切ってくれれば済むのに、忙しいんだ!と叫びながら話を続けてるのはそちらではないか。こちらからは切れない決まりなのに。
その商品販売元の会社の文句や要望を言われたって、こちらは代理店の代理店、私の一存ではどうにもならないし、トークスクリプトとネットに書いてあることしか答えられない。それ以上の知識は基本的に必要ないから。

お客さんに寄り添えばバカを見る。ほぼゴリ押しで、質問には答えないように指示される。話の通じない営業電話ってこうやって完成するんだな。

そんなことを考えてるうちに、豆腐はおろかティッシュほどの強度もないメンタルがあっけなく崩れて、ベッドから起き上がることができなくなった。数年前と同じ光景。社会適合化計画振り出しに戻る。

毎朝電話するのも面倒くさくなって、一週間くらい行けそうにないです。と適当に電話した。無断欠勤していないだけ偉いな。

正直一週間休んだくらいで元気になれるわけがないし、どうやって辞めるかばかり考えていた。就職も退職もしたことがないし、辞める数ヶ月前に言わないと辞められないらしい。こちらのライフはゼロなのに困った……

布団の中で頭を抱えて唸っていたら、人事から連絡が来た。話があるから派遣元に来いとのこと。ちょうどいい、辞めるって言おう。そう思って人事の元へ向かった。

この会社は毎週数人入社しているし、急に見なくなる人とかもいるってことは、出入りが激しいし、その分すぐ辞められるだろうなんて思っていたのだが、裏切られた。
もう何を言われたのか覚えてないが、とにかく根性論を2時間くらいほぼ一方的に聞かされていた。

自分は薬に頼らず鬱を自力で克服した。とか言っていた気がする。それ、鬱なんですか?

2時間のうちに私が喋ったのは、もう自分を殺したくないので、自分を大切にするために辞めます。みたいな一文くらいだった気がする。多分鼻で笑われた。覚えてないけど。

あと、いつまでも親のスネ齧るの?先にいなくなるよ。とか、彼氏に養ってもらうの?そんな年収ないでしょ。とか、言われた気がする。いや、言われた。わたし以外の人を侮辱されたことが一番腹立ったから覚えてる。

それから、いくつだっけ?22?もう拾ってくれる会社ないよ?とも言われた。これはもうどうでも良くなってただ時が過ぎるのを待ってたタイミングで急に歳を聞かれたから覚えてる。え、同級生はまだ大学生ですけど。現在進行形就活生だと思いますけど。高卒と大卒は違うとはいえ流石に盛りすぎでしょ。母親だって40過ぎで十数年ぶりに再就職してましたけど。と脳内ツッコミが追いつかなかった。なんかもう逆に面白かった。

要約すると、お前は能無しだから拾ってもらった自分たちに感謝して貢献しろ。みたいな感じだった気がする。少なくとも2時間にしては薄っぺらすぎる内容だった。一応引き留めるポーズはとるんだろうけど、どんなふうに引き留めるのかなと思ってたら、史上最悪の引き留め方だった。これで留まる人いるんか?

2時間喋ったら満足したのか解放された。帰り道のあの時間は人生最大に憤ってたと思う。あまりにも酷い態度だったし、わたし以外の人を悪く言うのが許せなかった。そしてなによりも、何も言えなかったことが悔しくて、自分に憤慨してた。

怒りを動力に退職代行を調べまくって、家に着く頃には代行を申し込んでいた。3万円の課金。痛い出費だったが、やむなし。想像以上にあっさりと辞められた。第三者のパワー強し。
心残りは2箇所目の派遣先に置きっぱなしにしていた冷房対策の羽織くらい。流石に取りに行く気力も体力もなかったので諦めた。

こうして私の初社会人生活は幕を閉じた。
社会に適合できてる人類たちにとっては普通に耐えられる環境だったのかもしれないし、むしろこれが世の中のアベレージくらいなのかもしれないけれど、社会に適合できていない人類もどきには少々耐えられなかった。
ということで、わたしの第一弾社会適合化計画は失敗。

早く人間になりた〜〜〜い!!!!

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