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4月以降に触れたもの、好きなもの

3月あたりから仕事の理不尽でややくたくたになっていたが、好きなことは割と楽しめているので大丈夫だと思う。職場は近いのが一番だな……と痛感しています。

以下はタイトル通りのメモです。

한국어(韓国語)

昨年『フィフティ・ピープル』を読んでから、韓国文学を言語で読めるようになりたいと思っていた。とりあえずどんな言語なんだろう思って新書を1冊買ってみたのだが、開いて即挫折した。
発音難しくない!? 喋る予定はないにしても、ハングルは表音文字だから音が理解できないとたぶん読めない。「家族」とか「約束」とか(ドラマ頻出ワード)、聞いていると日本語とほぼ変わらない語もあるのに、子音が多くて全然わからん……。初手からつまづいてしまい、これは映像で勉強したほうがいいと判断して、4月からEテレの録画を始めました。
一気に全部覚えようとすると難しいけれど、1ヶ月かけて小出しに教えてくれたので意外と頭に入ってきた、はず! 生徒役の河野純喜さんがサクサク吸収していくので、ついていくのに必死です(お仕事の関係もありもともと韓国語には触れているようだし、何より耳がいいのだと思われる)。
最初は全部同じに見えた丸や四角が文字に見えてきて、少しずつわかって楽しい。せっかくなので、スマホのキーボードにもハングルを加えました。なぜか「괜찮아요(大丈夫です)」というフレーズを真っ先に覚え、暇なときには手元のメモに書いて練習しているのだが、「大丈夫です」を紙一面に書いている人はたぶん全然大丈夫じゃないのでやばい。
映像で少し理解したあとに開いてみたら、こちらもとてもありがたい1冊に。

Eテレのテキストもそうなんだけど、URLがついていて音声が聴ける。語学なんて10年以上やってなかったので、現代の便利さに驚いております。


トライアングルストラテジー

3月に発売されたシミュレーションRPG。一見タクティクスオウガやFFTの再来かと思われますが、どちらかというと幻想水滸伝の味がします(スクエニだけど)。表情豊かなドット絵のキャラクター、詰所に増えていく老若男女の仲間たち……なんか懐かしい。そして詰所のBGMがすごくいい。というかBGM全部いい(千住明さんです!)。SRPGはバトルを始め、ひとつひとつの曲を聴いている時間が長いので、好みの曲が多いと最高です。育成にはさほど自由はなく、ソシャゲに近い感触。ただしユニット毎のアビリティが個性的なので、飽きずにバトルを楽しめます。歯応えはNormal以上だと普通にある。私はNormalから始め、7話あたりからクリアしたとき立っている味方がほぼいない状態になって、Easyに切り替えました。さらにラスボス戦はVery  Easyに変更。プライドなどない。
舞台となる「ノゼリア大陸」の人々は3つの国で鉄と塩を巡って戦争を繰り返しており、外の世界がどうなっているのかわからない(海の存在すら知らない)。地球上の古代国家より狭そうな世界観ですが、文明は中世〜近代レベルまで発展している謎。ついでに「塩鉄大戦」とか言ってたはずが本編で塩の話しか出てこず、鉄どこ行った??となります。ツッコミどころは多々あって、リアリティのある設定でないのは確か。
でもこのゲームを進めていると、時代を動かしているという手応えが不思議と感じられます。私が好きだったのは「信念の天秤」システム。物語の節目節目で7人のメインキャラクターに投票をしてもらい、進む方向を決めるというものです。主人公(=プレイヤー)には投票権はなく、事前に仲間を説得することで結果に影響を及ぼします。すごく民主的じゃないですか。実際は1票でも多ければいいので全員説得する必要はないんだけれど、自分の導きたい方向と違うキャラクターがいるとがんばって説得したくなる。会話がうまくいかなかったり主人公の隠しパラメータ(2周目からは開示される)が足りていないと失敗するので、その場では「そういう考え方もありですね」と納得していたかのような仲間が、投票では別の意見に入れる場合もあります。リアル。
エンディングは3+1種類ですが、途中の分岐は結構細かいため何周かしても見ていないシーン、違うステージが出てきます。それでいて周回を強要するようなシステムでもないのがいい。どのエンドも1周目で見られます。とはいえ、真ルートは他のエンドを見たあとだと喜びもひとしお。やっと胃が痛くない道を見つけられたね……と主人公セレノアを労りたくなりました。


『戦争は女の顔をしていない』(コミカライズ)

KADOKAWAの企画で無料ダウンロードできたのでありがたく手に取った。5/16までのようです。
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの原作を漫画化した作品。小梅けいとさん、かわいい絵だなぁと思ったら『狼と香辛料』の漫画版を描かれた方らしいです。
このノンフィクション『戦争は女の顔をしていない』は、100分で名著(Eテレ)での紹介を見たことがあった。ソ連にこれだけ多くの女性将兵がいたことを全く知らなかった。独ソ戦がいかに凄惨であったかも。今回漫画で読んでみて、「大祖国戦争」を経験したからこそのロシアの戦争観、また当時も現在も戦地にされるウクライナという土地について、ほんの少しだけ想像力が広がった気がする。
語り手が女性であるという特殊性を差し引いても、ここまで生々しく戦地の経験に触れている作品は少ないと思う。当然男性でさえ過酷な環境は、女性にとってはより無理の多い場だったことがわかる。
人間は怖い。平時だったら決して考えもつかないようなおぞましいことを、戦争の狂気の中では行ってしまう。イデオロギーの対立なんて教科書通りの理由をわかったつもりでいても、戦争の本質は暴力でしかないのだ。極限状況で他者の命を踏みにじり自分の死に怯えるのも最悪だが、そんな地獄から帰ってきて日常に戻るのもどんなに辛かっただろうか。それどころか、戦後日常に戻るはずが地雷で亡くなってしまった人達もいたのだという。
どうして人間はこんな恐ろしいことをしてしまうんだろう、とそればかり思う。読後に検索したら出てきた本作の発刊にあたっての鼎談の記事。帯を担当した富野由悠季監督の言葉がなかなか激しかった……と一瞬思い、自分の偏った感覚に引いた。富野監督は「戦争は許せない」と伝えたいだけなのに、それを過激に感じるとすれば、戦争はあっても仕方ないという心理からではないか。凄惨な暴力の肯定が、反対の立場よりも穏健に見える。これこそがきっと平和ボケなんだろう。

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